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冬になるとつい口ずさんでしまう唱歌に「冬の星座」があります。私が歌ったものをお聴きいただきましょう。
讃美歌のような優美なメロディーですね。そのせいか、讃美歌由来の唱歌「星の界」や「星の世界」と混同してしまう人もいるようです。
今回は、「冬の星座」について掘り下げ、「星の界」等との比較についてもやっていきたいと思います。
原曲はラヴソング!
「冬の星座」は1947(昭和22)年の歌ですが、原曲は1872年のフォークソングで、そこに堀内敬三が日本語歌詞を付けました。讃美歌を思わせるメロディーなので、フォークソングだったというのはちょっと意外性を感じました。
原曲「いとしのモリー」
「冬の星座」はアメリカ生まれ。原曲は、W.S.ヘイス(正確にはW.S.ヘイズ)が作曲した「Mollie Darling」。「Molly Darling」と書くこともあるようです。日本語で「いとしのモリー」。1872年の発表。
その名から想像するとおり、モリーへの恋心を歌ったフォークソングです。つまりラヴソング!キスを願ったり、別れなければならないと言ったりと、割と切ない歌です。
原曲の歌詞について
「いとしのモリー」の歌詞に星は出てきますが、「冬の星座」との脈はないように思います。また、やはり讃美歌でもありません。歌詞(対訳付き)は、どなたかが書いている下記サイトをご参照ください。
⇒ 英語の愛唱歌「いとしのモリー」
W.S.ヘイスの歌
「いとしのモリー」もとい「冬の星座」の作曲者はW.S.ヘイスというアメリカ人だと説明しましたが、この人が作った歌に日本語歌詞を付けられたものには「故郷の廃家」があります。こちらは「My Dear Old Sunny Home(いとしの懐かしき陽だまりの家)」が原曲です。
「冬の星座」は原曲「いとしのモリー」と大きく異なる内容ですが、「故郷の廃家」とその原曲は、歌詞の内容は違えど、割と共通する趣向を持っています。
「冬の星座」と同メロディーの日本の歌
今度は視点を移し、「冬の星座」と同じメロディーを持つ日本の歌を見てみます。
唱歌「他郷の月」
よくと喜ぶ 父母の君
あれ姉上と かけ来る妹
こひしや我が家に うれしや今
かへると見しは 夢なりけり宵のしぐれは あとなく晴れて
傾く月に 雁なき渡る
あはれあの雁も またわがごと
わかれや来つる その故郷
1911(明治44)年の唱歌に「他郷の月」があります。作詞は中村秋香。「冬の星座」は戦後の歌なので、それよりもずっと古い歌です。あまり知られていないと思われます。
替え歌といえばあまり良い印象はありませんが、「冬の星座」は自然への寵愛を感じますし、「他郷の月」も家族や故郷への愛情を感じます。そして原曲「いとしのモリー」は恋愛。共通点は愛といえましょうか、どれも優美なメロディーに似つかわしいと思います。
「星の界」「星の世界」との比較
冒頭にも書いたように、「冬の星座」と「星の界」「星の世界」とを混同してしまう人がいます。しかし、比較すると、メロディーは異なることが分かります。
歌い出しメロディーは逆の動き
ドレミにした場合、「冬の星座」の歌い出しメロディーは、下から上に向かう感じで、
ドーレミソラドソーミ
であり、「星の界」や「星の世界」は上から下に向かう感じで、
ソーソラソミドドーラー
です。ソ→ラだけは上がりますが、その後は下がります。つまり、「冬の星座」と逆の動きをしています。
文字だけだと分かりにくいので、下記にて一度聴かれてみてください。
⇒ 星の界
⇒ 星の世界
混同の原因は、雰囲気や世界観か?
メロディーが異なるのに混同する人がいる原因は、おそらく、曲の雰囲気が似ていることと、歌詞の世界観が似ていることにあると思います。
ゆったりとしたテンポで、なおかつシンプルで優美。歌部分だけなら小節数も同じです。
さらに「冬の星座」の構造を見ると、全16小節を4小節ずつに分けた場合、9-12小節目だけが毛色が異なり、あとの1-4小節目と5-8小節目と13-16小節目は、メロディーが同じか似ている……といった構造を持っています。これは「星の界」等でもいえます。
歌い出しのリズムも、ターンタタタタタ…と始まるところが同じですね。これにより、からだで感じる波が同じになり得ます。錯覚しても不思議ではありません。
あとは歌詞の世界観。共通点は星空。どこか俗世間から離れた神秘を感じませんか?
以上が、混同の原因のように思います。曲というのは、細かな音程のみならず、その他のあらゆる要素も複雑に絡んで印象づけられます。だから共通点が多いほど似てきます。作画でいうと、同じ系統の顔になるといえましょう。
休符を意識して歌おう!
ここからは「冬の星座」を歌うときのお話に入りましょう。ちょっとの工夫で、この歌の良さが生きてくるでしょう。
忘れてない?休符の存在
「冬の星座」の歌い出しは、
こーがらしとだえーて
です。
よく見てみると、”て” のうしろに “ー” (長音)がありません。四分休符になっているんです。だから、
こーがらしとだえーてー
と、”て” をいっぱいいっぱい伸ばしてはいけません。
細かいことかもしれませんが、ここを押さえるだけで歌いやすさは変わります。四分休符で次のフレーズを歌うためのエネルギーが貯まるし、息継ぎもしやすくなります。そして次のフレーズの歌い方はおのずと変わってきます。
ほか、
さーゆるそらよりー
の “りー” は、3拍伸ばし、4拍目は休符です。4拍分丸々伸ばすわけではありません。気持ち良くなって伸ばしすぎてしまうと、息継ぎがしづらくなります。要注意ですね!
休符がないという仮の話
なお、仮に、いっぱいいっぱいの長音(休符がない状態)になっていても、息継ぎを自然にすると考えれば、おのずと休符、、というか間(ま)は生まれますね。その場合、間をなくすように歌うこともあるし、いっそ間を入れてしまったりします。ケイスバイケースってことです。
休符だからとて休憩しない
休符は、休憩ではなく、あくまで音のない音です。もちろん息を吸っても良いですが、音楽は続いています。休符で休憩してしまうと、テンションが落ち、発声時のからだの支えもリセットされてしまいます。するとこれまでのフレーズと次のフレーズとのあいだに溝ができ、歌にまとまりがなくなります。
歌詞の内容によってはそれでも良い場合がありますが、「冬の星座」に関してはダメ。次は次へとつなげていく意識が必要です。
1箇所はちょっと特別
休符の取り方をお話ししましたが、1箇所だけ、休符ではなく長音になっています。それは、
くーすしきひかりーよー
です。ここだけは、
くーすしきひかりーよ
ではないのですよね。
ここは、先ほどチラッと書いた[休符がないという仮の話]が生きます。次へのフレーズへの求心力がかなり強く箇所なので、作曲者も、歌い上げさせたいと考えて休符を入れなかったのかもしれません。だからしっかり歌い上げて、次の
もーのみないこえーる
につなげ、盛り上げていきましょう!
このように、一見シンプルな歌でも、細かく見ていくと色々ポイントがあります。絶対に楽譜どおり正確に!というルールはあるわけではありませんが、きちんと読み解いていく努力は必要だと思っています。
ヴィブラートの工夫
これは私がやってみた表現です。皆さんはマネしなくても良いと思います。
きーらめきゆれつーつ
の “きー” は、盛り上がった後に落ち着く箇所であり、なおかつ星がゆらゆらと瞬いているイメージが私にはありました。それを表現するために、私は意識的にヴィブラートを強めにし、浮かせた声で歌いました。
ぜひ参考になさってみてくださいね。


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