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こんこんこんこんあられがふーる♪ で始まる唱歌「あられ」。短いながらも、かわいらしさとインパクトがあり、耳に残りやすい歌です。
僭越ながら、私の歌でご紹介します。
あられは寒い時期に降りますが、そんな寒さよりも楽しさを感じさせる作品だなあと思います。
では、トリビアを織り交ぜつつ、「あられ」について掘り下げていきましょう!
なお、今回は梁田貞作曲の「あられ」であり、信時潔作曲の「あられ」ではありません。ご了承ください。
120曲にもおよぶ唱歌集の中の一曲!
「あられ」は、全12集・全120曲にもおよぶ大きな唱歌集の中の一曲です。その唱歌集とは、『大正幼年唱歌』です。
『大正幼年唱歌』について
1915(大正4)年8月から1918(大正7)年1月にかけて、『大正幼年唱歌』が出版されました。そのタイトルどおり、小さな子ども向けの唱歌が収録されています。1集あたり10曲で、全部で120曲にも及びます。1925(大正14)年には合本も刊行されました。
著者は、葛原しげる(作詞担当)、小松耕輔(作曲担当)、梁田貞(作曲担当)。毎週のように会って、話し合いながら作り上げたそうです。喧嘩もあったかもしれませんが、なかなか楽しそうですね。
「乳母」「少兵士」など時代を感じる唱歌も収められていますが、「電車」「かくれんぼ」「夏休み」「お砂場遊び」「イルミネーション」「ステイション」「カンガルー」「子猫」など、子どもが親しみやすい歌ばかりです。
ちなみに、彼らは続けて『大正少年唱歌』というものも出しています。こちらも120曲!いやはや、ものすごい熱量ですね。
「あられ」は第8集
今回の「あられ」は、『大正幼年唱歌』の第8集に収められています。第8集には、ほかに「餅搗き」「お角力」「お日様」「紙風船」「猿蟹合戦」「畳み紙」「白熊」「大砲」「軍艦」が入っていますが、脈絡はありません。
あられって何?こんこんって何?
ではここで、「あられ」の歌詞を掲載します。
歌詞
こんこん こんこん 霰が降る
ぱらり ぱらり こんこんこんこんこん
お屋根に 霰が降る
ぱらり ぱらり ぱらり
お手々を広げて
霰を受けよ
こんこん こんこん 霰が降る
ぱらり ぱらり ぱらり
あられは、氷?
あられ(霰)には、goo辞書によると以下の意味があります。
1 雲の中で雪に微小な水滴が凍りつき、白色の小さい粒となって降ってくるもの。雪霰 (ゆきあられ) と氷霰 (こおりあられ) とがある。気象用語では直径5ミリ未満が霰、5ミリ以上が雹 (ひょう) 。《季 冬》「呼かへす鮒売 (ふなうり) 見えぬ—かな/凡兆」
2 料理で、小さく賽 (さい) の目に切ること。また、切ったもの。「—に刻む」
3 干飯 (ほしいい) を煎 (い) ったもの。
4 「霰餅 (あられもち) 」に同じ。
5 「霰小紋」に同じ。「—地の織物」
6 「霰蕎麦 (そば) 」に同じ。
今回の歌の場合は 1 の意味ですね。小さな氷の粒だとイメージすると良いでしょうか。歌詞には “ぱらり ぱらり” とあるため、ある程度固いことが想像できます。なお、直径5mm以上になると雹と呼ぶのですね。
間違ってもお菓子のあられではありません。いや、実はそいつが空から降ってきたとか!?……当たると痛そう。でも我が家の犬は喜んで食べ回りそうです。
“こんこん” の意味
雪やあられが降る様子を “こんこん” と表現することはよくありますが、いったいどんな意味でしょうか。
goo辞書によると、”雪や雨などがさかんに降るさま” だそうです。
いや、それは分かったとして。ではなぜ “こんこん” という変な表現をするのでしょう。
実はこれ、擬音語でも擬態語でもなくて、動詞+助動詞の〈来む〉から来ているという説があります。来む の意味は、来るだろう(推量)とか、来るがいい(勧誘・適当)とか、そんな感じです。今回の文脈からすると、〈来む来む〉=〈来て来て〉みたいな感じですかね。それが今では、雪や雨などがたくさん降って来る様子を意味するようになったというわけですね。
ちなみに、唱歌「雪」の “ゆきやこんこ あられやこんこ” の “こんこ” も、”こんこん” と同じ意味です。
強弱意識!歌う上でのポイント
幼年唱歌だからといって、子ども騙しのように歌うのは私のポリシーに反します。ただただかわいらしく歌えば良いってわけではありません。私は以下のように芸術を追求します。
強弱記号は、単なる音量操作ではない
「あられ」の楽譜を読むと、しっかりと強弱記号が書いてあります。これを無視してはいけません。たとえば f(フォルテ)には 強く という意味があります。これが付いているところは強く歌うべきです。
しかし、ただ強く歌うのではなく、何が強いのかを自分なりにイメージすることが大切です。あられの勢いが強い?それとも自分の思いが強い?……何かが強いはずです。その結果、相対的に音量が大きくなります(絶対的に大きいとは限らない)。
動画などではなかなか分かりづらいかもしれませんが、肉声の場合はより顕著にその表現がストレートに伝わります。
“こんこん” でピッチを狙う
別の記事でも何度か解説していますが、カ行の発音って難しいのですよね。幼い子が、おかあさんという言葉よりも おとうさんやおばあちゃんを先に覚えてしまい、母親が悔しがる。そんなことがけっこうあるみたいです。
「あられ」は、歌い出しからいきなりカ行。しかもスタッカート(音を短く切る記号)まで付いています。するとどうなるか。そう、ピッチ(音高)が定まりにくくなる。つまり音痴になりやすくなるということです。
“こ” の k の子音はあらかじめ狙いを定めて出します。o の母音は響きが暗くなってピッチも低くなりやすいので、意識的に高めに出すと狙いやすいです。また、”ん” の音は、真剣に発音しようとすると奥まった声になりがちです。”こ” で狙って出した線上で軽く処理するのが良いと思います。
※もっとも、”来む” であればまた発音の仕方は変わりますが、この歌でそこまで考える必要はないでしょう。
“こんこんこんこんこん” はキラキラアーチ
「あられ」で最も大変な箇所は、前半にある “ぱらり ぱらり” の直後の “こんこんこんこんこん” です。速く歌う箇所ですね。唐突に出てきます。しかもカ行!口が緊張するとうまくいきません。
やるべきことは、とにかく息をしっかり流す感覚を持つことです。先述のように一個一個狙って歌うのも大切ですが、ひとつのアーチを声で描いていく感覚も必要なのです。今回の歌では、氷と光の微粒子が口から放たれ、遠くに向かってキラキラと流れていくイメージでしょうか(あくまで例です)。遠くから歌い手を見ると、白銀の虹が出ているかもしれません。
そんなこんなでイメージしながら歌うと、不思議と気張りがなくなり、うまくいきやすいです。
Panasonic のチャイムに似たメロディーが!?
最後にどうでもいい話をして終わりましょう。
偶然か意図的か分かりませんが、Panasonic(パナソニック)のチャイムに、「あられ」と似たメロディーがあるんです!
ここでいうチャイムとは、家の呼び出し釦で鳴らすメロディーや、店に入ったときに鳴るメロディーのことです。
では、下記リンク先ページの「メロディ1」を一度お聴きください。少しスクロールすると “音をきく” という欄があるので、そちらでお聴きになれます。
よく聴くと違うと分かりますが、出だしの印象は「え!?あられ!?」って感じですね。
実は私、メロディ1のほうを先に知っていて、後に「あられ」を知りました。だから「あられ」の楽譜を読んだとき、「え!?これってチャイムのメロディー!?」と一瞬驚きました。
なお、上記リンク先ページの「メロディ2」は、ファミリーマートの入店メロディーです。多くの人はファミリーマート専用のメロディーと思っているかもしれませんが、一般住宅でも、呼び出し釦を押すと流れることがありますね。


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