子鹿のバンビ(坂口淳、平岡照章)

唱歌・童謡

お待ちしておりました!

新緑もだんだん鮮やかになってきました。少しずつ初夏に近づいている感じがします。そして世間はゴールデンウィークですが、ゴールデンでもシルバーでもブロンズでもなく、今こそ身も心もグリーンでいきましょう!(意味不明)

てなわけで、今回は童謡「子鹿のバンビ」を取り上げます。まずは私が歌ったものを掲載します。

大人の男が歌うと少々ゴツい感じがしますが、我ながら楽しく歌ったつもりです。

では、今回はこの「子鹿のバンビ」の歌解説をしていきましょう。

バンビって、あのバンビ?

ディズニー映画に『バンビ』がありますよね。日本では1951(昭和26)年に公開されました。終戦から6年ほどなので意外に古い。よくアメリカの映画を受け入れたものだとの驚きもあります。

では、その映画に出てくるバンビと、今回の童謡「子鹿のバンビ」のバンビは同一人物(同一鹿物?)なのでしょうか。

ディズニー映画のバンビ

ディズニー映画『バンビ』の主人公(主鹿公?)である雄鹿のバンビは、春の朝に生まれ、うさぎのとんすけやスカンクのフラワー、そして雌鹿のファリーンと仲良く遊び、すくすく成長していきます。

ところがある冬の日、バンビの母が人間に撃たれ、死んでしまいました。私が昔観たとき、ここはかなりショッキングでしたね。バンビが母を探しまわるのがいたたまれなかったです。そこへ父が現れ、バンビを見守り、次期の王へと成長させていきます。

大人になったバンビは立派な姿になり、とんすけやフラワーと再会すると、彼らも立派な大人の姿で、高かった声も低くなっています。そしてバンビはファリーンと再会しますが、なんと恋に落ちます。ほかの雄鹿にファリーンを強奪されそうになるも、バンビは負けませんでした。

しかし次の秋、今度は山火事が起きてしまいます。人間の仕業です。脚を撃たれたバンビは、父に励まされながら、命からがら逃げ出すことに成功します。その後、ファリーンとも無事を確認し合います。

春、バンビとファリーンのあいだに、双子の子供が生まれます。皆に祝福され、ついには父から王の座を譲り受けることになります。つらいこともあったけど、それを乗り越えたバンビ。私は子どもながらに、彼はなんて優しくて強い鹿なのかと思いましたね。

今回の童謡のバンビ

結論から言うと、童謡「子鹿のバンビ」のバンビは、ディズニー映画のバンビと同じキャラクターを指しています。もっというと、作詞者の坂口淳さんは、映画を観て感動し、「子鹿のバンビ」の歌詞を書いたのです。

歌詞の中には、

  • みみずくおじさん
  • とんすけうさぎ
  • ぼくらの王様

と出てきますが、すべて映画の中で描かれているものです。みみずくについては、よくふくろうとして紹介されますが、耳がついているのでみみずくで間違いなさそうです。

ちなみに、わが家では昔、雌のニワトリを2羽飼っていました。そのうちの1羽はトンスケという名前でしたが、もちろん映画『バンビ』のとんすけから採りました。しかし私なりの思いつきだったので、うさぎのとんすけとの関連は特にありませんでした。毎日卵を産んでくれて、ありがたく頂きました。

問題ないのか?

さて、気になるのは、歌詞の中にディズニーのキャラクターを勝手に盛り込んでも良いのか?ということ。実際にディズニー社の許諾を得て歌詞を書いたのかは分かりませんが、現行の法律ではグレーな行為かもしれません。

歌詞には、具体的な固有名詞 “とんすけ” が出てきます。それに “バンビ” という固有名詞に至っては、歌詞のみならずタイトルにもなっています。キャラクターの概要そのものには著作権は及びませんが、シビアな現代では、歌詞での表現から著作権への抵触を指摘されたり、商標権の侵害を訴えられる可能性があるでしょう。また、倫理的な問題としてイチャモンをつけられる可能性もあるでしょう。

ただ、「子鹿のバンビ」の歌自体は古いし、その時代には今ほど知的財産管理がシビアではなかったため、問題なく現代まで歌い継がれてきています。今後もこの歌が問題に発展する可能性は低いのではと推測します。

ちなみに、「こぐまの二月」という童謡があります。こちらは “こぐまのぷうさん” が出てきますが、ディズニーのプーさんかどうかは定かではない描き方をしているため、無問題です。

作曲者は映画を観ずに書いた

作詞者は映画でインスパイアされて作詞しましたが、作曲者である平岡照章さんは映画を観ずに曲をつけたのだそうです。

というのも、先に映画を観てしまうと、潜在意識がついてしまうから。つまり、歌詞の内容から得たイメージだけで曲をつけたというわけです。

その結果、子鹿がピョンピョン跳ねるような3拍子の曲になりました。映画『バンビ』に出てくる音楽とのダブりもなく、れっきとしとたひとつの作品として仕上がったのです。

聞こえてくる、角笛のような音

童謡「子鹿のバンビ」の、1番と2番の間奏と、3番と4番の間奏に関するお話です。ここ、私がこの歌で一番好きな箇所なのです。なんだか “森” を感じるんですよね。

間奏ではピアノだけの演奏ですが、ピアノの左手で弾く音(低いほうの音)を意識して聴かれてみてください。

なんだか角笛の吹鳴のように聞こえませんか?

角笛とは、動物の角を使って作った笛です。狩猟、戦争、宗教行事などで合図として使われてきました。基本的には、ホイッスルやクラクションのように単音しか出せないみたいですが、森を描いたオーケストラ作品だと、ホルンがメロディーを奏でたりします。

該当の箇所は、まさにそのイメージ。バンビにとって角笛を鳴らすような人間は敵ですが、森という雰囲気が十分に出ているように思います。なお、作曲者が意図していたのかは不明です。

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