お待ちしておりました!
今年も我が家に燕がやってきてしばらく経ちますが、今は子育ての真っ盛りです。親鳥が虫を捕まえて巣に戻ると、ビャービャーと雛が騒ぎます。面白いですね。
さて、今回は歌謡曲「夢淡き東京」を取り上げます。まずは私が歌っているものを、YouTubeから引っ張ってご紹介します。
ちなみに、このヘタクソな絵は私が描いたものです。イメージに合うイラストを探していたのですが、無かったので、こうせざるを得ませんでした。
では、「夢淡き東京」について掘り下げていきましょう!
音楽が先で、歌詞が後?
冒頭の動画や当記事タイトルを見て、お気づきになった方はいらっしゃいますか?実は、作曲者のほうを先に書いたのです。
作詞者を先に書くのが通例ですが、それは、基本的に歌詞(詩)が先に作られ、そこに音楽が付けられるためです。逆に、音楽が先に作られていても作詞者を先に書くのが普通ですが、わざと逆にして表記するケースもあります。
「夢淡き東京」は、実は先に音楽が作られたという話がありますので、私はわざと作曲者を先にして表記しました。
なお、「夢淡き東京」がこの世に出たのは、1947(昭和22)年にNHKラジオドラマ『音楽五人男』が映画化されたときの主題歌としてです。かの藤山一郎さんによる歌唱です。ステージで歌われているだけのイメージでしたが、はじめは違ったのですね。
いったい何を歌っているのか
著作権上の都合でブログには歌詞掲載を控えますが、いったいどんなことを歌っているか見ていきましょう。歌を脳裏で流しながら読み進めてみてください。
映画に関連?
映画『音楽五人男』の主題歌だと先述しましたが、まず、その映画と内容が関連しているのかどうかが気になります。
映画のあらすじは以下のとおり(Movie Walker より引用)。
音楽への希望を胸に抱き、暖かい友情に結ばれた仲間、山浦、沖吉、城、杉尾、若林の五人はガレージの二階に合宿していた。大家の娘光子は城にほのかな愛情を寄せていたが、彼らも彼女の純情にいつも励まされ、元気ずけられていた。ある日プロデューサーの塚本が合宿へ来て、城を音楽映画の主役に推薦したいという。その頃彼らの恩師が落莫の身を施療病院に養っていることを知った彼らは、報恩のため金策に奔走したが空しかった。山浦の昔なじみ小百合はこのことを聞き、金を工面した。山浦は小百合とともに独力で勉強するため山へ去ったが、残った四人もそれぞれの希望に向って第一歩を踏み出す。楽団に入った若林、映画で頑張る城、歌手の杉尾、作曲の沖吉。やがて彼らの努力も次第に認められてきた。山浦のコミック・オペッラも完成して、その発表の日、昔の仲間の特別出演で、沖吉の指揮棒につれて山浦貞一作ならびに主演の大コミック・オペラの幕が華やかに開く。
このあらすじだけ読んでも、歌詞と関連があるのかはさっぱり分かりません。そもそも、歌に出てくる “銀座” も “東京” も書いてない。ほかにも調べてみましたが、この映画のストーリーについての詳細は確認できませんでした。
古い映画を放映している映画館とかありますから、そういうところで観られるチャンスはあるかもしれません。もし観られた方は、何か情報提供いただけるとうれしいです。
銀座の柳が青めるのは、懐古?
1番には銀座の柳が出てきます。そしてその柳は青々と茂っている。昔の小説ではよく見られた描写だそうです。
しかしこの歌が発表されたのは戦後間もない頃。空襲で銀座は焼けてしまい、柳も建物も人間も、その多くが焼失してしまいました。実は大正時代にも震災で焼失していますが、その復興も、戦争により打ち砕かれてしまったのです。
作詞者にとって、柳青める〈あの頃の銀座〉はもう無かったと思います。すっかり変わってしまった銀座を見て、恋をした青春の日々が脳裏に浮かんできたことでしょう。
生き残った聖路加
以上は曲が短調である部分。途中で長調に転調しますが、そこからはおそらく、見えているのは現在の景色。霞む春の青空に聖路加国際病院(戦争の頃は大東亜中央病院に改称)の屋根と虹が見えるのです。これは平和への希望と言えましょう。
聖路加国際病院は空襲の難を逃れましたが、大量の負傷者で溢れていたそうです。温情で焼かなかったわけではなく、アメリカが勝つに決まっているから病院はアメリカのものにするということだったのだと。このときの詳しいお話は安増武子さんのお話をお読みください。なんとも凄惨です。
ちなみに、聖路加の正しい読みは〈せいるか〉です。〈せいろか〉ではありません。しかし「夢淡き東京」では〈せいろか〉と発音されることが多いですね。昔からそのように発音してきたのに、2000年頃に病院側が〈せいるか〉という読みが正しいとしたらしいです(聖ルカにちなむ)。聖路加国際病院は地下鉄サリン事件のときに日野原重明氏の英断で多くの命を救いましたが、たしかに昔観たドキュメンタリーでは〈せいろか〉と発音していた気がします。
昔そして未来
上記では1番のみクローズアップしてみましたが、同じようなスタンスでいくと、2〜4番も、昔を想っているのと同時に、現在の様子を描きつつ未来への希望を歌っているのではないかと解釈することができそうです。
ただ、(美しく解釈したい方には怒られるかもしれませんが)2番で “三味の音”、3番で “君” や “あの娘(こ)” と出てくるので、銀座の花街での色恋を回想しているのかと一瞬思ったりもしました。でも人それぞれで捉え方はさまざまだと思います。本当の答えは分かりません。数ある映像では藤山一郎さんが楽しそうに歌われていますが、いったい何を想像して歌われていたのでしょうね。
戦争ではいろいろな色が消えました。しかし、”虹” や “悩み忘れん” などが歌詞には盛り込まれています。きっと戦後の復興や平和への祈りの意味合いもあったのではないでしょうか。むしろそれこそがこの歌のメインテーマだと思います。


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