とんぼのめがね(額賀誠志、平井康三郎)

唱歌・童謡

お待ちしておりました!

私の嫌いな虫、トンボ。ゴキブリよりも嫌いです。それを言うと驚かれますが、どこが嫌いかと言うと、あの大きな4枚のハネです。黒い点が付いてますでしょう?あのせいで、大きな4つのギョロ目に見えて怖いんです。

というわけで今回取り上げるのは、童謡「とんぼのめがね」。まずは私が歌ったものを掲載します

いや〜、嫌いな虫を歌い上げるのもなかなか大変なものがありまして、少しでもトンボのことを好きになろうと色々調べはしましたが、やはり無理なものは無理。何かの拍子で家の中に入ってきた暁にはパニックです!

まあそれはいいとして、早速解説をしていきましょう。

医師によって書かれた歌詞

歌詞は、戦後まもない1948(昭和23)年に、額賀誠志(ぬかがせいし)によって書かれました。

福岡県楢葉郡広野村(現・双葉郡広野町)の内科医だった額賀は、上浅見川箒平(ほうきだいら)という地区に往診に行きました。そのときに子どもたちがトンボと遊んでいたそうで、その情景から「とんぼのめがね」の詩を書き上げたとのことです。

歌としては、翌年の1949(昭和24)年の発表です。

歌詞と解釈

とんぼの めがねは
水いろ めがね
青い おそらを
とんだから とんだから

とんぼの めがねは
ぴかぴか めがね
おてんとさまを
みてたから みてたから

とんぼの めがねは
赤いろ めがね
夕焼け雲を
とんだから とんだから

歌詞の意味などの解説については、特に必要ないと思いますが、言うなれば、色を使った面白味があるといったところでしょうか。

そして一番気になるのは “めがね” 。トンボのあの丸々とした目のことをいうのかな?と思いますが、どうでしょう。たしかにあれはゴーグルのようにも見えます。

ただ、本当にトンボの目は色を反射するのでしょうか?いや、歌にそんなリアリティを求めるのはナンセンスかもしれません。

歌詞に込められた思い

作詞者の額賀は、戦後の子どもたちが俗的な歌を歌うことが増えてきたことを危惧し、日本の未来を信じて画期的な世の中にならんことを願いました。子どもたちの胸に愛情の灯をつけておきたい…とも彼は語ったそうです。

そんな思いの中で生まれた歌詞のひとつが「とんぼのめがね」。

歌詞をなぞると情景を描いているにすぎないですが、そういった背景を考えて読んでみると、また違った受け取り方になると思います。

私なりの深読み

私は、「とんぼのめがね」をあえて深読みしてみました。あくまでひとつの捉え方なので根拠はありませんが、参考にしていただけたら幸いです。

色眼鏡

私がこの歌詞から受けた印象のひとつに、色眼鏡に関することがあります。私のいう色眼鏡とは、単に色のついた眼鏡のことではなく、先入観や偏見のことを指します。

色眼鏡を通して見てしまうなどよく言いますよね。大人が陥りがちな行為です。物事の本質を素直に捉えることができず、ひねくれた見方をしてしまったりします。しかも色眼鏡を持つ大人ばかりだと、そのひねくれた見方のほうが当たり前なものとして定着してしまい、素直な見方をする人のほうがかえってひねくれ者扱いされることもあります。

「とんぼのめがね」がそこまで想像して書かれているかは不明ですが、色眼鏡について疑問を投げかけているものとして捉えてみるのも、なかなか興味深いかと思います。

平和への染まり

色眼鏡解釈よりもこちらの解釈のほうが共感者は多いかもしれません。

青いところに行けば、眼鏡はその色に染まる。つまり青い世界だと、あなたの価値観も水色や青色になる。さらにつまりは、平和な世界であれば、皆さんの心や考え方も平和になる。

そういうことです。

いや、あえての深読みですから、作詞者はそこまで考えて書いたわけではないかもしれません。ただ、平和を願って書かれてはいるので、無意識的にその思いが歌詞に反映されている可能性はあります。

どうですか?色々な角度で見てみると、なかなか面白いものがありますよね。

歯切れ良いテンポで健やかに歌う

最後に音楽的なお話です。

「とんぼのめがね」の演奏動画を視聴していると、約束されたテンポからだいぶ遅いテンポで弾いている人を見かけます。

練習過程で遅くなるのは仕方がありませんが、結果的には良くありません。楽譜に書かれている約束事、つまりルールから大きく逸脱することは、基本的にNGです(編曲版は別)。

この歌の拍子は4分の2拍子。テンポは四分音符=112です。メトロノームを鳴らしてみると、案外速く感じるテンポかなと思います。

前奏を、一小節ごとに改行して俗な擬音で表現すると、

チャッチャッチャッチャッ
チャッチャッチャッチャッ
チャーラーリーラー
チャンッ チャンッ

という感じになりますが、これが遅いテンポになると、

チャンチャンチャンチャン
チャンチャンチャンチャン
チャーラーチャーラー
ドッスン コッ!

といった印象になってしまいます。あえてその雰囲気にしたいならば好きにすれば良いと思いますが、それならば “指定のテンポよりもあえて遅く弾いています” との旨を、理由と共に書くべきです。

指定テンポで軽快に奏すれば、歌も歯切れ良く歌えます。歯切れが良いからこそ、戦後の混沌とした世の中に爽やかな風を吹かせることができるように思います。下手に遅くするとまるでマーチのようになり、戦時中に逆戻りです。

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