お待ちしておりました!
今回よりしばらく、クリスマスにまつわる歌をご紹介していこうと思います。
まずは讃美歌「ひいらぎかざろう」から。クリスマスになると頻繁に聞かれる歌で、ご存じの方も多いのではないでしょうか。下に、オルガン伴奏で歌った私の歌を掲載しますので、クリスマスを盛り上げてみてください!
なんだか子どもの頃を思い出します。地域で子ども会というものがあって、毎年12月に公民館でクリスマス会が催されました。私はああいう空間は苦手でしたが、今思うと懐かしいです。
では、「ひいらぎかざろう」について掘り下げていきましょう!
原詞は〈大晦日〉の歌だった!?
「ひいらぎかざろう」の原曲はウェールズ民謡。ウェールズとはイギリスに属するカントリーのひとつです。イングランドやスコットランドもそうですね。
まずは、原曲の歌詞から見ていきましょう。
ウェールズ民謡としての原詞(1番のみ)
原曲タイトルは「Nos Galan」です。16世紀の歌だそうなので、時代としてはルネサンス後期です。とりあえず歌詞(1番のみ)を掲載しましょう。
Oer yw’r gŵr sy’n methu caru,
Fa la la la la, la la la la.
Hen fynyddoedd anwyl Cymru,
Fa la la la la, la la la la.
Iddo ef a’u câr gynhesaf,
Fa la la la la, la la la la.
Gwyliau llawen flwydd nesaf,
Fa la la la la, la la la la.
イギリスなので英語かと思いきや、ウェールズ語です。よく見るとあまり見かけない単語がずらっと並んでいます。下に、ChatGPTが訳したものを掲載します。
タイトルの「Nos Galan」には大晦日という意味があるようです。掲載した訳文にも “来年も” とありますね。あと上には載せなかった3番の歌詞には “Nos Galan” という単語がそのまま出てきます。原曲の歌詞を全文確認したい方は下記のサイトをご覧ください。
⇒ 原曲の歌詞全文はこちら(英語対訳つき)
世界的に有名な英語歌詞
さすがにウェールズ語だと理解が難しいですが、英語だと世界中で通用します。
ただ、原詞タイトルは「大晦日」でしたが、最も有名な英語歌詞は「Deck the Hall(s) with Boughs of Holly」すなわち「ひいらぎかざろう」です。1862年に、T.オリファントという翻訳家が、世界中で受け入れられやすいように改変したそう。ヨーロッパでは大晦日もクリスマス期間にあたるため、そこまでズレもないです。
では、その英語歌詞(オリジナルバージョン)をご紹介しましょう。
Deck the hall with boughs of holly,
Fa, la, la, la, la, la, la, la, la!
‘Tis the season to be jolly:
Fa, la, la, la, la, la, la, la, la!
Fill the meadcup, drain the barrel,
Fa, la, la, la, la, la, la, la, la!
Troul the ancient Christmas carol.
Fa, la, la, la, la, la, la, la, la!See the flowing bowl before us,
Fa, la, la, la, la, la, la, la, la!
Strike the harp, and join in chorus:
Fa, la, la, la, la, la, la, la, la!
Follow me in merry measure,
Fa, la, la, la, la, la, la, la, la!
While I sing of beauty’s treasure.
Fa, la, la, la, la, la, la, la, la!Fast away the old year passes,
Fa, la, la, la, la, la, la, la, la!
Hail the new, ye lads and lasses:
Fa, la, la, la, la, la, la, la, la!
Laughing quaffing all together,
Fa, la, la, la, la, la, la, la, la!
Heedless of the wind and weather.Fa, la, la, la, la, la, la, la, la!
【日本語訳(訳:弥生歌月)】
ファララララララララ!
楽しい季節だ
ファララララララララ!
蜂蜜杯をいっぱいに、樽は空っぽに
ファララララララララ!
古きキャロルを高らかに歌おう
ファララララララララ!
ファララララララララ!
ハープを弾いて、いっしょに歌おう
ファララララララララ!
私の陽気な声についておいで
ファララララララララ!
美しい宝を歌うからね
ファララララララララ!
クリスマスらしく、底抜けに明るい内容ですね。
日本語歌詞は端折りすぎ
今日本で有名な訳詞は、松崎功という人によるものです。1904(明治37)〜1954(昭和29)年の人なので、歌詞はけっこう古いものといえましょう。
あまり日本語訳の悪口を言いたくはないですが、日本語の歌詞はかなり端折った内容になっています。
ひいらぎかざろう
ファララララララララ
晴れ着に着かえて ※
ファララララララララ
カロルを歌おう
ファララララララララ
楽しいこのとき
ファララララララララ輝くこの夜
ファララララララララ
ハープにあわせて
ファララララララララ
楽しく踊ろう
ファララララララララ
昔をしのんで
ファララララララララ
※の付いた行は、英語歌詞のオリジナルバージョンには無い内容ですが、アレンジバージョンには出てくるものです。しかし、全体的に英語歌詞とはあまり内容が一致していません。一応訳詞とされていますが、英語歌詞を参考にした新たな作詞といったほうがしっくりきます。
ただ、日本語のことばの音声学的特質上、英語の情報量よりも少なくなってしまうのは仕方がない面もあります。どうしても端折ったり意訳したりせざるを得ないです。
なお、歌詞に出てくる “カロル” とはキャロルのこと。お祝いの歌ですね。
謎の日本語歌詞
これはなぜか私の記憶にあるのですが、この歌詞で歌った覚えのある方、いらっしゃいませんか?
ひいらぎかざろう
ファララララララララ
歌声あわせて
ファララララララララ
:
:
さっきと違うのは、”歌声あわせて” の部分。私はずっとこの歌詞で口ずさんでいました。しかし改めて確認すると、よくある歌詞では “晴れ着に着かえて” になっていることが分かり、びっくりしました。
インターネットで調べてみても、有力な情報はありませんでした。
ただ、英語歌詞には、”いっしょに歌おう(直訳:合唱に参加しよう)” と出てきますから、私の記憶にある “歌声あわせて” は、かなり自然な歌詞だと思うのですよね。
もし何かご存じの方いらっしゃいましたら情報提供いただけると嬉しいです!
実はれっきとした讃美歌
「ひいらぎかざろう」を聴いただけの感じでは、民謡、もしくは、言っても童謡といった印象を受けます。子どもの頃のクリスマス会で耳にしたし、お家とかで気軽に口ずさんだりもしたものですから。
でも、実はれっきとした讃美歌でもあります。
日本基督教団『讃美歌第二編』の129番こそ、「ひいらぎかざろう」なのです。
第一編にあたる『讃美歌』は礼拝で歌うことを想定して編まれていますが、『讃美歌第二編』はより広い領域が想定されています。ラフな雰囲気を持っている「ひいらぎかざろう」は、後者というわけです。
今回は以上です!


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