お待ちしておりました!
今回は、讃美歌に由来する、なんとも神聖なメロディーを持つ「星の世界」についてお話をしていきましょう。
まずは私の歌ったものをご視聴いただけたらと思います!
私の歌唱についてはさておき、曲としては、大変心の洗われる音楽ですね。
「星の世界」は3番煎じ!?
今回の「星の世界」は、日本の歌といえば日本の歌ですが、純粋無垢な日本の歌ではありません。というのも、アメリカの弁護士・C.C.コンヴァースが作曲した讃美歌に由来しているためです。
原曲は讃美歌「いつくしみ深き」
キリスト教会や結婚式場で歌われる讃美歌に「What a Friend We Have in Jesus」があります。日本語版だと「いつくしみ深き」ですね。無償の愛と信頼を歌っています。歌詞を書いたJ.M.スクライヴェンは二度も婚約者を失っており、その経験がこの歌の歌詞を生んだと言われています。
1870年発表の曲で、その後アメリカで広まり、世界にも知られるようになりました。今や結婚式の定番ソングともなっており、聖歌隊のアルバイトをやっている学生さんにとっても十八番に入るくらいではないでしょうか。
日本での初出は1882(明治15)年。『讃美歌並楽譜』の第82番。なお、日本基督教団の『讃美歌』では312番として知られています。
日本で生まれた「星の界(よ)」
「星の世界」とタイトルがそっくりで、もっと古い歌に「星の界」があります。普段まず「界」を1文字だけでは使わないし、ましてや「よ」と読むこともないので、初めて見たときは脱字か誤字ではないかと思ってしまいました。
「星の界」は1910(明治43)年の発表で、作詞者は杉谷代水という詩人。よくもまあ難解な歌詞をつけたものですが、私の学の無さのためそう思うにすぎないのかもしれません。
明治時代は、「星の界」のように、外国歌にむりやり日本語歌詞をつけるという、いわば正式(←ここ重要!)な替え歌が流行していました。また、この時代は、江戸幕府による禁教も解かれ、讃美歌を使って唱歌に仕立て上げるということもよく行われました。
容易な歌詞の「星の世界」の誕生
昭和の半ばには、川路柳虹という詩人によって、「星の界」よりも遥かに理解しやすい歌詞がつけられ、「星の世界」が誕生しました。1952(昭和27)年に発行された中教出版の『小学校用音楽五』に掲載されたのが最古のようです(参考:国立国会図書館)。
「What a Friend … 」が1870年、「いつくしみ深き」が1882年、「星の界」が1910年、「星の世界」は1952年で、3,4番煎じの歌なのです。
……いや、3,4番煎じどころではないかもしれません!その理由は以下のとおりです。
ほかにもあるよ!日本語の歌詞
「星の世界」と同じメロディーを持つ日本語の歌は、実はほかにもあります。以下に例を挙げてみます。
※先述のものも含みます。
- 讃美歌「いつくしみ深き」(1882年)☆原詞由来の訳詞
- 唱歌「別れの歌」(1892年)★新たな作詞
- 讃美歌「母君にまさる」(1903年)★新たな作詞
- 唱歌「星の界」(1910年)★新たな作詞
- 唱歌「秋に寄せて」(1948年?)★新たな作詞
- 唱歌「星の世界」(1952年)★新たな作詞
- 聖歌「つみとがをにのう」(1958年)☆原詞由来の訳詞
- 救世軍歌「山なすたからも」(1997年)☆原詞由来の訳詞
- 救世軍歌「過ぎ行く月日は」(1997年)☆原詞由来の訳詞
あくまで例ですが色々あります。「いつくしみ深き」の絶大な影響力を思い知らされます。
……え、全部歌えって??
無茶言わないでくださいよ〜!「星の界」ならありますので、とりあえずこちらでお許しください。
「冬の星座」は似ているのか
よく「星の世界」と似ていると言われる唱歌に「冬の星座」があります。”木枯らし途絶えて さゆる空より” で始まる歌ですね。似てる!だけならまだしも、同じ曲では?と感じる人もいるくらいです。
まず先に結論をいうと、全く別の歌です。
たしかに似ている感じはしますが、メロディー自体はさほど似ていません。歌い出しのメロディーは、「星の世界」は 上から下 へくだり、「冬の星座」は 下から上 へのぼっています。そう、真逆なのです。
それを踏まえて、一度お聴きくださいませ。
どうでしょうか。同じに聞こえますかね?ハ長調のドレミに直すと、「星の世界」はソーソラソミドドーラーで、「冬の星座」はドーレミソラドソーミです。
まあただ、全体的にリズムはかなり共通していますし、雰囲気は似ていますよね。小節数も同じ16小節だし、テンポも然り。人間でいうと<作画にすれば同じ系統の顔>というくらいは似ていると思います。
ちなみに、「冬の星座」はW.S.ヘイスという人による作曲ですから、作曲者も異なるということになります。ただ、「星の星座」と同じく、親しみやすく優美なメロディーであることに違いはありません。
難しい カ行 と ガ行 の発音
ところで、赤ちゃんは、おかあさんを呼ぶことよりも、おばあちゃんやおとうさんを呼ぶことを先にマスターすることが多いんだそうです。
というのも、”か”の発音が難しいからです。舌の奥のほうをノドに引っかけ、息を通して はじきます。このアクションが難しいのです。これは大人になっても同じで、私が歌うときも、カ行はなかなかスムーズにいきにくいと感じます。
「星の世界」には、カ行の発音が目立つように出てきます。
「星の世界」の歌詞
かがやく夜空の 星の光よ
まばたく数多の 遠い世界よ
ふけゆく秋の夜 すみわたる空
のぞめば不思議な 星の世界よきらめく光は 玉か黄金か
宇宙の広さを しみじみ思う
やさしい光に まばたく星座のぞめば不思議な 星の世界よ
いきなりカ行で始まる
「星の世界」の1番は、”輝く” の “か” で始まります。これがなかなか難しい。勢い余って爆発することなく、だけどくっきりと発音するための練習が必要です。それに対して「星の界」は “つ” で始まるので、ずいぶん発音はしやすいですね。ただ母音はウなので、それはそれで難しさがあります。
「星の世界」2番は “き” で始まります。またもやカ行です。イの母音なので、”か” よりは狙いやすいでしょう。
重要なことばにも “か” がある
歌詞の中にも “星の世界” ということばが出てきますが、曲名と同じことばなので重要といえます。しかし “か” が入っているので発音は簡単ではありません。ただ、語頭にくるよりは幾分発音しやすいかもしれませんね。
ガ行の発音は鼻濁音
ガ行もカ行と同じく難しい発音ですが、「星の世界」に関して言えば、すべて鼻濁音 カ゜の発音で処理できます。発音記号でいうと [ŋ] です。鼻にかかるので、ただの濁音よりだいぶ柔らかい発音です。
ただ鼻濁音は、ただの濁音より難しいです!慣れるまでは、ああでもないこうでもないと練習を繰り返すしかありません。ちなみに、関東の人よりも関西の人のほうが苦手な傾向にあります。
鼻濁音がどうしてもスムーズにできない場合は、ただの濁音で良いでしょう。ただ、あまり汚くならずに柔和に発音するよう心がけたいところですね。
今回は以上です!


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