クラリネットをこわしちゃった(フランス童謡、服部克久、石井好子)ぼくの大すきな…

唱歌・童謡

お待ちしておりました!

オ パ キャマラード!今回は子どもの頃から聴き馴染みのある童謡「クラリネットをこわしちゃった」についてです。

まずは私がひとりで二部合唱をしているものをお聴きください。

動画に使っているイラストの動きを面白くしてみましたが、少しうっとうしかったでしょうかね…。

まあそれはさておき、この童謡、全体的にハキハキとしているのに、どことなく怖さがあるんですよね。一体どんなことを歌っているのか、少し詳しく見ていくことにしましょう。

原曲は「J’ai perdu le do」ではない?

「クラリネットをこわしちゃった」の原曲は、一応フランスの童謡である「J’ai perdu le do」とされています。あえてカタカナ読みにすると「ジェ ペルデュ ル ド」です。

「J’ai perdu le do」の歌詞

「J’ai perdu le do」の歌詞(1番のみ)は以下のとおりです。もちろんフランス語です。

J’ai perdu le do de ma clarinette 

J’ai perdu le do de ma clarinette
Ah, si papa savait ça, tra la-la
Ah, si papa savait ça, tra la-la
Il dirait “ohé” 
Il chanterait “ohé” 
Au pas, camarade, au pas, camarade 
Au pas, au pas, au pas 
Au pas, camarade, au pas, camarade 
Au pas, au pas, au pas
【和訳】
  僕のクラリネットのドの音が出なくなっちゃった
  僕のクラリネットのドの音が出なくなっちゃった
  ああ、もしパパがこれを知ったら、トラララ
  ああ、もしパパがこれを知ったら、トラララ
  彼は「おい」と言うだろう
  彼は「おい」と歌うだろう
  進め、仲間よ、進め、仲間よ
  進め、進め、進め
  進め、仲間よ、進め、仲間よ
  進め、進め、進め
 

こう見てみると、「クラリネットをこわしちゃった」と似たような内容ですね。少なくとも1番は、元の歌詞にほぼ忠実に訳されているというわけです(フランス語版2番以降では、出なくなる音が ドとレの音、ドとレとミの音……最後は全部の音というように、順に出なくなる音が増えていくバージョンもあります)。

さらなる元ネタは不詳

で、話はここからで、原曲とされているフランス語版の「J’ai perdu le do」は、実は原曲と “されている” にすぎず、さらに元となった歌は不詳のようです。

一説であるナポレオンの歌

ただ一説には、1800年にナポレオンがマレンゴの戦いで歌った軍歌「La chanson de l’oignon(玉ねぎの歌)」が原曲ではないかといわれています。”オ パ キャマラード” という部分が共通しています。
J’aime l’oignon frit à l’huile, 
J’aime l’oignon car il est bon. 
J’aime l’oignon frit à l’huile, 
J’aime l’oignon, j’aime l’oignon. 
Au pas camarades, au pas camarades, 
Au pas, au pas, au pas, 
Au pas camarades, au pas camarades, 
Au pas, au pas, au pas

【和訳】

僕は油で揚げた玉ねぎが好きだ
僕は玉ねぎが好き、だって美味しいから
僕は油で揚げた玉ねぎが好きだ
僕は玉ねぎが好き、僕は玉ねぎが好き
進め、仲間よ、進め、仲間よ
進め、進め、進め
進め、仲間よ、進め、仲間よ
進め、進め、進め
ナポレオンは、戦いの前に、何人かの兵士が玉ねぎをパンに擦り付けているのを見て、「栄光への道を歩むためには、玉ねぎに勝るものはない」と言ったそうです。

緊張感のある戦いの中で、こういった歌詞を耳にすると、ふっと肩の力が抜けて良い戦いができそうですね。玉ねぎという単語からも、ピリッとスパイスが効いてきそうです。しかもナポレオンはマレンゴの戦いで、オーストリアに対し大勝利を収めています。

侮るなかれ!意外に難しい童謡です

「クラリネットをこわしちゃった」は、割とテンポを速くして歌うことが多いです。速く歌うと、ことばや音の処理が難しくなります。

滑舌

そこで気をつけなければならないのは、滑舌。歌の準備運動でしっかり舌を温め、また口まわりの余計な力を抜き、息をまっすぐ安定して消費することを意識しないと、途端に何を発音しているのかわからなくなってしまいやすいです。

下からの支え、的確な狙い

同じ音が連続する箇所が多く、特に3番に至っては “ドとレとミとファとソとラとシの…” と同じ音が連続します。しかも長い。

そういうところは、自分の声を下から支えてあげるかのように意識したり、音を一つずつ的確に狙っていったりしないと、音程が悪くなりますし、息の使い方が悪いと貧弱な声になっていってしまいます。しかも重唱や合唱でハモるとなれば、ひとつのパートでも音が狂うと、そこでハーモニーは汚くなってしまいます。

そう、単純だからこそです。ごまかしがききません。雰囲気だけで歌えてしまう歌ならではの罠ですね。

クラリネットは本当に壊れたの?

最後にひとつ、気になる点を考えましょう。

それは、クラリネットは本当に壊れたのか?壊してしまったのか?です。

実は父親のセリフがある

実は、先に掲載したフランス語歌詞には、もう少し長いものが存在します。というかこっちのほうが有名かもしれません。

なので先掲の歌詞で省略した部分のみを以下にご紹介します。これは “Au pas, au pas, au pas, ” の前に挿入され、日本語版にはないメロディーが使用されます。

Tu n’connais pas la cadencé,
Tu n’sais pas comment l’on danse,
Tu n’sais pas danser! Au pas cadencé.
【和訳】
君はカデンス(リズム)を分かっていない、 君はどうやって踊るかを分かっていない、 君は踊れやしない!リズムに合わせるんだ。 
これは父親が言うセリフです。息子にクラリネットの吹き方を教えているシーンですね。実は吹き方が成っていないだけだったというわけです。
 

“壊す” のではなく “失う”

さらに、歌詞冒頭の “J’ai perdu le do de ma clarinette” に出てくる perdu は、 “壊す” と訳されることが多いですが、”失う” という意味の単語です。なので直訳すると “僕は自分のクラリネットのドを失った” となります。

つまり、

1 クラリネットを物理的に毀損してしまいドの音が出なくなった
2 音の出し方を忘れてしまったか、そもそも出し方が分からない

のどちらかですが、まあ文脈的に2のほうだと私は思いますね。

歌われるときは、ぜひ以上の情報を参考にしてみてくだいね!

フランス語版「J’ai perdu le do」の動画

では最後に、フランス語版の歌をお聴きいただいて終わりにしましょう。先ほど掲載した歌詞とは多少異なりますが、まあそれはよくあることです。

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