木の葉(吉丸一昌、梁田貞)散るよ散るよ…

唱歌・童謡

お待ちしておりました!

今回はちょっとマイナーな唱歌をとりあげたいと思います。「木の葉(このは)」という唱歌です。尋常小学唱歌に「木の葉(きのは)」がありますが、それとは別の歌。

今回のはこんな歌です。

実は、私もこの動画で披露したのが、生まれて初めての「木の葉」です。これまでに一度も歌ったことも聴いたこともなかった。楽譜にあってもスルーしていた。実に不勉強感が否めませんが、それくらい興味の薄い歌だったのです。

しかしその姿勢は、一応歌い手としては好しがらざる事。というわけで取り組んでみた次第です。

調べてみてもあまり多くの情報は無いようですが、トリビアを織り交ぜつつ掘り下げていくこととしましょう!

唱歌「早春賦」との意外な共通点

1912(大正元)年に『幼年唱歌』第2集に掲載されました。歌詞はその前年である1911(明治44)年に作られたそうです。※明治は45年の途中で大正になりました。

「早春賦」と同じ唱歌集!?

「木の葉」が掲載された『幼年唱歌』は、教育者で作詞家でもあった吉丸一昌が編んだ唱歌集です。全歌に伴奏が付されていたのが、世間に喜ばれたそうです。

第3集より『新作唱歌』と改題され、全10集が著されました。第3集には有名な「早春賦」も収められています。「早春賦」は難しいので、幼児はなかなか歌えません。そりゃそうです。『新作唱歌』と改題したと同時に、対象も、尋常小学校、高等小学校、中学校、そして高等女学校まで引き上がりましたから。

でも、「木の葉」と「早春賦」が同シリーズに収められているのはなかなか意外!作曲者は異なりますけどね。でもなぜ『幼年唱歌』の延長線上に『新作唱歌』を設けたのでしょうね。対象者が異なるから分けたら良かったのに。

ちなみに、表紙の絵は、第1・2集では幼い子どもであることに対し、第3集ではもっと成長した子どもとなっています。

世界最高齢者より若い歌

「木の葉(このは)」は明治→大正の境目で生まれた歌。本記事作成時点で世界最高齢者とされている糸岡富子さんは1908(明治41)年のお生まれなので、「木の葉」も「早春賦」も、糸岡さんより若い歌なのですね。

まあ、そんなこと言ったら多くの歌が糸岡さんより若いんですけどね!今回はあくまでトリビアとして挙げたまでです。

「このは」と「きのは」

吉丸が「木の葉」を「このは」と読んだ理由は、よく分かりません。しかし、「このは」と「きのは」とでは大きな違いがあるので、その認識の違いから来ているのかもしれません。

「このは」は1単語、「きのは」は3単語

「木の葉」を1語として捉えた場合、元来の読み方は「このは」だそうです。1語ということは、その3文字まとめてひとつの名詞です。ちなみに冬の季語です。

対して「きのは」だと木+の+葉で、名詞+助詞+名詞という形として認識することが多いようです。この場合、文法的には3単語といえます。ちなみに季語ではないようです。

どちらも木が持つ葉っぱのことを指しますが、「このは」というと落ち葉や枯れ葉の意味もあるし、文学的・情緒的。「きのは」というと「木という植物にくっついている葉っぱだよ!」な印象がありませんか?

マリオにも登場する このは

『スーパーマリオブラザーズ3』というファミコンゲームなどには、スーパーこのはというアイテムが登場します。取得すると、スーパーマリオはしっぽマリオに変身し、助走後に一定時間空を飛べるようになるんですよね。

そのアイテム名がもしスーパーきのはだったら、なんだか言葉にまとまりがないし、飛べる気がしない。それだけ このは という言葉は深いことばなのです。

唱歌「木の葉」と唱歌「木の葉」

今回の唱歌は「木の葉(このは)」ですが、尋常小学校唱歌には「木の葉(きのは)」があります。前者は1912(大正元)年で、後者は1911(明治44)年の初出なので、たったの1年違いですね。

「木の葉(このは)」の歌詞

散るよ 散るよ 木の葉が散るよ 
風も吹かぬに 木の葉が散るよ
ちら ちら ちら ちら
ちいら ちら
 
飛ぶよ 飛ぶよ 落葉が飛ぶよ
風に吹かれて 落葉が飛ぶよ
ひら ひら ひら ひら
ひいら ひら

「木の葉(きのは)」の歌詞

何処から来たのか 飛んで来た木の葉
くるくるまわって くもの巣にかかり
風に吹かれて ひらひらすれば
くもは虫かと よって来る
 
何処から来たのか 飛んで来た木の葉
ひらひら舞って来て 池の上におちて
波にゆられて ゆらゆらすれば
鯉はえさかと 浮いて来る

こうやって見てみると、「このは」も「きのは」も歌詞の内容に見合った読みになっているなあという気がします。でも後者は決して形式的ではありません。全体が面白いですから!ちなみにまだ歌ってないので、今後歌ったら載せたいと思います。

けっこう速い!歌もピアノも大変

「木の葉(このは)」は、楽譜をパッと見たときの印象よりもけっこう速いテンポ。楽譜には ♩=88 とあります。しかも2拍子だからトントン拍子に進んでいき、疾風のごとくあっという間に終わります。木枯らしを感じさせますね。

だけどそのテンポだと、歌うのも弾くのも大変なのです。音程正しく発声を安定させて発音は明瞭に。それでもって表現も。短いのにやることは多い。ピアノは、左手は休む暇もないくらいせわしいです。だけどドタバタドタバタ弾いたらうるさいだけ。木の葉が舞うかのように弾かねばなりません。

その難しさを堪能しながら、私はこの「木の葉」への興味を深めていきました。マイナーな唱歌ですが、面白みは十分詰まっています。

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