お待ちしておりました!
作詞も作曲も日本人が行ったクリスマスソングに、「うさぎ野原のクリスマス」という歌があります。というか見つけました。どんな歌だろうと思って早速聴いてみたら、あらかわいい!
こんな歌です。
なんかメルヘンチックですよね♪ 絵本の世界のようです。これは私が歌っていますが、もっと声の軽いおねえさんが歌ったほうが雰囲気に合ってるかもです。おっさんは歌うな!って声が聞こえてきそう。
ただこの歌、調べてみてもあまり情報が出てこなかったのです。今回はこの歌を掘り下げていこうと思いますが、色んな情報をパズルのピースのごとく集めてまとめましたので、そこのところひとつご了承ください。
意外と古い!しかも書いていたのはあの人
「うさぎ野原のクリスマス」は、聴いた感じ、新そうな気がしました。というか、私自身ずっと知らなかったからきっと新しいんだろうというバイアスがかかっていたのです。ところが違いました。
時は昭和、雑誌『音楽広場』にて
「うさぎ野原のクリスマス」は、1987(昭和62)年、クレヨンハウス社の幼児教育月刊誌『音楽広場』に掲載されたようです。作詞者は新沢としひこさんで、作曲者は中川ひろたかさん。このお二方による共同作品が、その雑誌で連載されました。
曲調は新しい感じがしますが、昭和の時代に生まれた歌だったのですね。私ももはや人生が短いとは言えない年代です。覚えていないだけで、どこかで耳にしたことがあるのかもしれません。
「世界中のこどもたちが」の作者と同じ
「世界中のこどもたちが」という歌を、小学校で習った方もいるかもしれません。私も習いましたが、”世界中のこどもたちが 一度に笑ったら” という歌い出しに、一種の恐怖のようなものを感じました(もしそんなことあったら地球でワーーッという声が大音量で響き渡るのだろうかと)。
「うさぎ野原のクリスマス」の作詞者も作曲者も、「世界中のこどもたちが」の作詞者と作曲者と同じです。
「蛍の光」流用の合唱曲の作者も同じ
卒業シーズンにぴったりの「空より高く」という合唱曲があります。この歌は、後半で「蛍の光」と全く同じメロディーが流用されているのが大きな特徴です。この歌の作者も、新沢&中川コンビです。
ちなみに、こんな歌です。
「うさぎ野原のクリスマス」と同じ作者とは思えない、厳かで力強い作品ですね。「蛍の光」の威力によるところも大きいと思います。
NHK『みんなのうた』の都市伝説
「うさぎ野原のクリスマス」の雰囲気からして、まるでNHK『みんなのうた』で流れてもおかしくないように思います。では、実際どうなのでしょうか。少し調べてみました。
放送を匂わす記載を発見!
楽譜ショップサイトが掲げている情報に、”NHK「みんなのうた」より” とありました。
ひとつは、電子楽譜カノンというサイト。スクリーンショットは下図です(本記事作成現在)。

画像中央付近の左のところに、”NHK「みんなのうた」より” と書いてあります。そのまま下にスクロールしていくと……

タイアップ欄にも “NHK「みんなのうた」より” と、堂々と書いてあります。しかしいつ放送されたのかは明記されていません。配信開始日の2016年10月17日というのは楽譜のことだと思います。
また、楽譜アプリ フェアリーにもありました。スクリーンショットは下図です(本記事作成現在)。

画像中央より少し上の左のほうに、”NHK「みんなのうた」より” と記載してあります。そのまま下のほうへスクロールしていくと……

タイアップ欄にも堂々と “NHK「みんなのうた」より” と書いてあります。しかしやはり放送年月は不明。それとこちらも配信開始日が2016年10月17日となっています。
上記2つのサイトは異なるサイトなのに、配信開始日が同じ2016年10月17日となっているのは、おそらく同じ楽譜だからだと思います。けれども念のため、NHKの公式ページでも確認してみましょう。
NHKの一覧には載っていない
NHK『みんなのうた』の公式ページで探してみましたが、なんと「うさぎ野原のクリスマス」は掲載されていませんでした。
……な、なにごと!?
2016年のみならず、過去の記録を漁ってもありませんでした。
じゃあ、楽譜サイトにあった “NHK「みんなのうた」より” という記載は、いったい何だったというのでしょう。気になってさらに検索してみましたが、有力な情報は得られませんでした。念のためWikipediaでも『みんなのうた』曲一覧を調べましたが、「うさぎ野原のクリスマス」は載っていませんでした。
実は放送されていなかった!?
以上から考えられることは、大きく分けて次の3点。
- 楽譜サイトの記載は誤りであり、放送されたことはない
- 楽譜サイトの記載は正しいが、NHKが何らかの事情で一覧に載せていない
- 楽譜サイトの記載は正しいが、NHKが忘れている
1は、本当はあってはいけないことですが、なんら不思議ではありません。昔から、情報が誤って伝わったり誤解したりミスしたり……ということはよくあることです。
2は、何かの特集や引用の形で放送されたとかだと、ひょっとしたらありえるかもしれません。また、たしかに放送したはずだが証拠が消滅したというケースも無きにしも非ず。そうよ、見ている(聴いている)はずなのに何もない!まるで都市伝説です。
3は、さすがに無いと思いたいですが、可能性はわずかにあります。まあ、不運というか、事故ですね。
さて、真相はいかに……。何か知ってる事がおありの方はお知らせください!
この歌ならではの歌詞の捉え方
私が「うさぎ野原のクリスマス」を歌っていたときは気づけなかったのですが、これ、文字を見ずに聞いただけだと「うさぎの腹のクリスマス」と聞こえ得るんですよね。
うさぎ 〈の腹〉のこうざきたち
作詞者に対する悪気は全くありません。私の発想の問題だと思います。
冒頭の “うさぎのはらの こうさぎたちは” を、うさぎの腹のこうさぎと捉えてしまう。一度そう聞こえると、ずっとそのように聞こえてしまうわけです。親うさぎの腹の中というより、腹の位置で温まっているイメージでしょうか。
それはそれでかわいらしいけど、おそらくそこまでの意味はないでしょう。〈野原〉と〈の腹〉の掛詞と思いたくなりますが、純粋に〈野原〉だけの意味で書かれているように思います。
歌うときの工夫
私はいつもことばの意味を考えて歌います。しかし、視野が狭くなると、上記のような捉え違いに気づかずに歌い進めてしまったりもします。あとになって、今回の場合はどのように歌ったら “うさぎ野原” と聞こえただろうか?と考えます。
冒頭の”うさぎのはらの” のメロディーは、タ タ タ タ タ タータ といったリズムなので、その軽やかさを損なわすことはできません。
やれることは、”の” を若干強めて、”は” を若干弱めることくらいですね。もし、”の” を弱めて “は” を強く歌うと、まさに “うさぎの腹” になってしまいます。
こういった少しの意識の積み重ねが、日本語の聞き取りやすさにつながります。ところが今回、私はそそまで頓着せずに歌って収録してしまいました。反省です。(ま、そんなこともあります。)


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