ゆかいに歩けば(F.W.メラー、保富康午)

唱歌・童謡

お待ちしておりました!

外を歩いていると汗ばむ季節になりましたね。熱中症対策が欠かせません。特に5月から6月にかけては、どことなく気を抜きがち。水分と塩分の不足に備えたいものです。

今回は童謡「ゆかいに歩けば」。ぽかぽかな日の散歩でつい歌いたくなる一曲です。では、私が歌ったものを掲載します。二部合唱になっています。

歌っても聴いても楽しい歌ですね!

今回はこの「ゆかいに歩けば」について、歌詞の内容や原曲について解説していこうと思います。

歌詞の中の気になることば

歌詞については、特段難しいことはありませんので、冒頭の動画をご覧いただけますと幸いです。

ただ、気になることばを引用してみます。

バルデリー バルデラー バルデロー

この掛け声のようなことばです。なんとなく、『白雪姫』の “ハイホー ハイホー♪” のようなノリがありますよね。

この謎を解くにはこの歌の原語版に迫ってみる必要がありますから、下記にて解説していきましょう。

原語版(ドイツ語版)の歌詞や解釈など

原語版は「Der Fröhliche Wanderer(ゆかいな旅人)」です。全部で5番まであります。

まずはどんな歌かお聴きいただきましょう(ソロのテノール歌手は Rudolf Schock)。ただし、この音源では3番と5番が割愛されています。

歌詞と日本語訳

Mein Vater war ein Wandersmann,
Und mir steckt’s auch im Blut;
Drum wandr’ ich froh, so lang ich kann,
Und schwenke meinen Hut.

Faleri,
Falera,
Falera,
Falera ha ha ha ha ha ha
Faleri,
Falera,
Und schwenke meinen Hut.

Das Wandern schaffet frische Lust,
Erhält das Herz gesund;
Frei atmet draußen meine Brust,
Froh singet stets mein Mund:

Faleri …
Froh singet stets mein Mund:

Warum singt Dir das Vögelein
So freudevoll sein Lied?
Weil’s nimmer hockt, landaus, landein
Durch and’re Fluren zieht.

Faleri …
Durch and’re Fluren zieht.

Was murmelt’s Bächlein dort und rauscht,
So lustig hin durch’s Rohr,
Weil’s frei sich regt, mit Wonne lauscht
Ihm dein empfänglich Ohr.

Faleri …
Ihm dein empfänglich Ohr.

D’rum trag ich Ränzlein und den Stab
Weit in die Welt hinein,
Und werde bis an’s kühle Grab
Ein Wanderbursche sein!

Faleri …
Ein Wanderbursche sein!

【日本語訳(意訳:弥生歌月)】

僕の父さんは旅人だった。僕はその血を受け継いでいる。だから僕はよろこんで歩きまわるのさ、歩けなくなるまで。帽子を振り上げて。

ファレリ、
ファレラ、
ファレラ、
ファレラハハハハハハ
ファレリ、
ファレラ、
帽子を振りまわして。

旅は新たな喜びを与えてくれる。心の健康を保ってくれる。外の空気を胸いっぱいに吸い込んで、僕の口はいつもうれしくて歌ってしまう。

ファレリ…
僕の口はいつもうれしくて歌ってしまう。

小鳥たちはなぜ楽しそうに歌うのか?それは、じっとしていられず、いろんな野原をあちらこちら行き来するからだ。

ファレリ…
いろんな野原を行き来するからだ。

なんと、そこの小川は楽しそうに、ささやき、ざわざわと水路を流れている。気ままなせせらぎに、君の澄んだ耳は喜んで聴き入ってしまう。

ファレリ…
君の澄んだ耳は聴き入ってしまう。

小さなリュックと杖を携えて、長い旅路へ。冷たい墓に入るその日まで、旅の若人でありつづけよう!

ファレリ…
旅の若人として!

“バルデリー” は “Faleri”

日本語の、

バルデリー バルデラー

は、ドイツ語だと、

Faleri Falera

であると分かりました。これをカタカナにすると ファレリ ファレラ となりますから、日本語の訳詞のほうとは大きく異なります。ただ、ことばの揺らぎとしてみるとほぼ同一と見て良いかと思います。

ただ、英語版「The Happy Wanderer」の歌詞に目をやると、

Valderi Valdera

となっていることが判明しました。日本語 “バルデリー” は、その英語版から来ているのだと思われます。

そして意味はやはり特になく、かけごえのようなものです。ハイホーハイホーと同じようなものですね。ただ、ハイホーは励ましのことばなので、厳密には異なります。

日本語版が生まれるまで

原曲の「Der fröhliche Wanderer」の詩は、F.F.ジギスムントによるもの。第二次世界大戦直後、F.W.メラーにより曲が付けられました。

1953年には、イギリスの音楽祭で優勝した合唱団が歌った英語版「The Happy Wanderer」がラジオで放送され、瞬く間に有名となりました。

日本にはいつ輸入されたかは不明ですが、1964(昭和39)年4月にはNHK『みんなのうた』で日本語版「ゆかいに歩けば」が初回放送されています。訳詞者は保富康午、編曲者は小林秀雄です。その後も音楽の教科書に載るなどして、広く歌われるようになりました。

Googleで検索すると、「ゆかいに歩けば」のリリースが2006年などと出てきましたが、そちらはおそらくカバー版のお話。誤解されぬようお気をつけください。

日本語版は、ちょっとテンポが遅い!?

私が使用した楽譜は日本語版であり、編曲者名には小林秀雄とありました。小林秀雄編曲版は、いわば日本語版としての原曲といえます。

その楽譜では、テンポは少し遅め(1拍が96)に設定されています。冒頭の動画でも、ほぼそのテンポどおりに歌っています。正直、私としてはまどろっこしく感じるテンポです。でもそれが編曲者の指定なので仕方がありません。勝手に楽譜を逸脱することはできません。まどろこっしくても、そのテンポに意味を見出すことも、歌い手としての使命だと思っています。

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