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ペギー葉山さんが歌ってミリオンセラーを獲得した歌謡曲「学生時代」(作詞・作曲:平岡精二)。1964(昭和39)年の発売です。
お年を召した方の多くが好きな歌なのではと思います。
まずは私が歌ったものをお聴きください。
舞台は青山学院の礼拝堂
この動画の絵、実は私が描いたものです。歌の舞台となった、青山学院のチャールズ・オスカー・ミラー記念礼拝堂です。フリー画像を懸命に探したのですが、なかなかイメージに合うものがなかったので描かざるを得ませんでした。
さて、この歌は、とにかく翳りがありつつもアップテンポ。思わず手拍子を打ったり、からだを動かしたくなるビートです。そしてフランスのシャンソンを思わせる雰囲気がありますね♪
制作当初の曲名は「大学時代」だった!?
「学生時代」は制作当初、「大学時代」というタイトルだったそうです。
ペギー葉山さんが「学生時代」を主張
しかし、ペギー葉山さんは、みんながみんな大学へ行く時代ではないことを理由に「学生時代」と変更することを主張し、結果的に変更決定となったらしいです。
私の感覚では、「大学時代」より「学生時代」のほうが語感が良いように感じます。「大学」だと「が く」の発音でお堅い印象を受けますが、「学生」だと「がくせー→」と流れていくので、なんとなく口にしやすいように思います。子音の S が入るから息が流れます。
もし「大学時代」だったなら……
もし「大学時代」というタイトルなら、歌詞の最後ももまた “だい が く じ だ い〜” となっていたのでしょうかね?
うーん、作詞者には悪いですが、やはりそれだと歯切れが悪いような……。「学生時代」と変更したのは正解だったと思いますし、だからこそヒットしたのかもしれません。
また、ペギー葉山さん自身、青山学院高等部の出身ではありますが、大学には進学していません。実際に体験していないことを歌では歌わなければならないこともありますが、やはり現実味を出すにはハードルは上がってしまいます。
「学生時代」になったことで幅広い解釈となり、ペギー葉山さん自身も歌いやすく、そして多くの聴き手(特に大学に進学していない人)にとっても共感を得られやすくなったものと思いますね。
同性愛を描いている!?
「学生時代」の歌詞と音楽は、青山学院大学に通っていた平岡精二さんが、同学院高等部のペギー葉山さんを想いながら書いたものです。
3番では、”その美しい横顔 姉のように慕い” と出てきますが、これはペギー葉山さんが誰かを慕っていたという構図です。
その誰かとは、上級生の加賀山園子さんだそうです。
女性の同性愛的感情〈S〉
当時、そういう同性愛的感情のことをSといいました(Sは sister のSのこと)。歌の発売は昭和中期ですが、Sは特に大正から昭和初期に流行ったことばだそうです。下級生が上級生を「お姉様」と慕うのです。
しかしこれは現代でもありませんか?
私は共学出身なので男子校や女子校の事情はわかりませんが、聞くところによると、同性同士でカップルが出来たりするみたいですね。
先輩への憧れや偶像崇拝
恋愛感情の有無を度外視しても、同性の先輩に強く憧れたり偶像崇拝することは度々あることです。「学生時代」の3番で描いているのはSであるという説は濃厚かもしれませんが、恋愛感情が伴う同性愛のことかは分かりません。
なお、ペギー葉山さんは俳優の根上淳さんと結婚されています。
奇妙な和音
音楽的なお話になりますが、「学生時代」の間奏では、ちょっと奇妙な和音が使われています。
『日本抒情歌全集1』(ドレミ楽譜出版社) の楽譜より引用し、その部分を掲載します。

朱っぽい色で丸をつけた和音です。コードでいうとE♭7です。
E♭7 → D7 → Gm
と進行・解決していますが、これは通常、
Gm/D → D7 → Gm
となることが多いでしょう。でもあえE♭7を使っていることで、独特な味わいを醸し出しています。
E♭7では、キュッと心を軽く掴まれるような感じがします。なんというか、日頃何気なく会話している友達がいたとして、ふとした瞬間に切なさと色気を同時に垣間見たような感覚です。
私の歌っている動画でいうと、1:02くらいのところですね。2番に入る直前のピアノのことです。
ちなみにこの歌は、私が巷の合唱団、それもお年を召された方の多い合唱団に参加したときに歌いました。皆さんにとっては青春の歌だったみたいです。


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