紅葉(高野辰之、岡野貞一)秋の夕日に…

唱歌・童謡

お待ちしておりました!

紅葉の季節。寒い地方では散り始めていますが、暖かい地方ではこれからという所もあります。

ではまず、私が歌ったものを掲載します!1番はビブラートを抑えて、2番はビブラートを堂々とつけて歌いました。
※ 0:09あたりにブチッという雑音が入っています。これはアップした時には入っていなかったので、YouTubeシステムに何らかの不具合が起こって生じた音と思われます。

単純ながらも明瞭なメロディーで、讃美歌を思わせるハーモニーが美しい唱歌です。

今回はこの「紅葉」のお話ですが、あまりにも有名すぎる唱歌なので、私が解説するのは少し気が引けるのが正直なところ。なるべく私なりの視点でお話ししていけたらと思います。

解像度を上げてみる

歌を聴いて「よくある当たり前の光景だ!」と思った方もいると思いますが、当たり前と感じるときほど漠然としたイメージをしがちなものです。

歌詞に出てくる単語を丁寧に読んでいくことで解像度を上げることができます。解像度が上がると歌に具体性が生まれます。ほんの些細なことでも、その小さな意識が歌の表現に大きな影響を及ぼす!私はそう信じています。

歌詞 

秋の夕日に照る山紅葉
濃いも薄いも數ある中に
松をいろどる楓や蔦は
山のふもとの裾模樣
 
溪の流に散り浮く紅葉
波にゆられて離れて寄つて
赤や黃色の色樣々に
水の上にも織る錦

1番は静的、2番は動的

1番は挿絵になりそうな静的な情景です。対して2番では、葉が離れたり寄ったりしており、動きがあります。つまりアニメーションです。私が、1番でビブラート抑制、2番はビブラートありで歌った理由はここにあります。

ただ、必ずしもそのようにしなければならないことはなく、人によって感じ方ややり方は様々でしょう。なので一参考までに……。

そもそも紅葉(もみじ)って何?

もみじもみじとは言うけれど、なんとなく赤や黄色の葉っぱのやつとしか認識していない人も少なくないでしょう。

では、一体紅葉(もみじ)とは何のことなのでしょうか?

2つの意味

実は大きく分けて2つの意味があります。

  1. 秋に赤や黄色に色づいた葉
  2. カエデ

古くは1のことを「もみち」と清音で呼んでいたようです。今ではよく紅葉(こうよう)といいますね。そして数ある木々の中でもカエデが見事に紅葉することから、カエデのことを「もみじ」と呼ぶようにもなっていったみたいです。

もみじには紅葉の字が当てられますが、赤葉や黄葉とあてられることもあります。近世文学研究者の宇田敏彦氏によると、上代においては黄葉と書くことが主流だったとのことです。

歌の紅葉は両方の意味か

歌詞に出てくる “紅葉” の意味を特定するのは野暮な気はします。が、先ほどの1と2の両方の意味として解釈可能と思います。

1は言うまでもありませんが、2については、歌詞の中に “山紅葉” という単語が根拠です。山紅葉とは、ムクロジ科の植物を指します。ムクロジ科の中にはカエデ属のカエデがあります。

さらに、歌詞には “松をいろどる楓や蔦は” とあります。カエデが出てきましたね。ついでにツタも!そいつらが松を飾っています。ちなみに赤くなったツタの葉は蔦紅葉(つたもみじ) とも称されます。

もう何でもありですね!ほかの植物さえも視界に入ってきそうです。それら全部ひっくるめて紅葉(もみじ) で良いでしょう。

優美なメロディーと和声的な伴奏

最初のほうで「讃美歌を思わせる」と書きましたが、その理由は、優美なメロディーと和声的な伴奏の組み合わせにあります。

讃美歌は、誰もが歌いやすい明快優美なメロディーで、伴奏が和声的(和音を中心とした感じ)なものが多い。

作曲者はクリスチャンで教会オルガニスト

「紅葉」や「故郷」「春が来た」などを作曲した岡野貞一(1878 – 1941)は、思春期の頃に洗礼を受け、オルガンを学ぶことになりました。また、63歳で亡くなるまでの40年以上、教会オルガニストを務めました。さらには聖歌隊も指導していたそうです。

そう。尋常小学唱歌の作曲者のイメージが強い岡野は、実はキリスト教に造詣の深い人物だったわけです。彼が作った数々の音楽は、少なからず讃美歌等の影響を受けていることでしょう。

自分で弾いて、大きく歌おう

和声的な伴奏に合わせて歌うには、伴奏をよく聴くことが重要です。ピアノが弾ける人は、和音の響きを堪能しながら歌う練習をすると良いと思います。和音と調和するピッチ(音高)で歌いたいものですね。

ただ、木を見て森を見ずな状態になってもいけない。和音と声の調和を愉しみつつも、大きなフレーズ(小さくは4小節単位、大きくは8小節単位)で朗々と歌うと、優美な旋律が生きてきます。

休符を守れ!!

あきのゆうひに[休符]
てるやまもみじ[休符]
こいもうすいも[休符]
   :

というように、わざわざ休符があります。この休符では、1箇所を除いて伴奏も休符になっています。つまり無音になるのです。

もし聖堂で歌うならば、きっとそこで歌が反響して自分の耳に届きます。意図的かそうでないかはさておき、神秘さを醸し出すための必要な休符なのです。絶対に音を伸ばしちゃいけない。”ゆうひに〜” なんて歌うのはもってのほか!

ただ、休符はあくまで音のない音であり、休みではない。ブレスはOKだけども、からだを支え、テンションは下げないままにしろ!

……とちょっと熱くなってしまいましたが、単純な歌なのに、極めようとするとけっこうマルチタスクなんですよね。。

おまけ

この歌には、人名のような言葉が出てきます。ちょっと遊んでみました。

  • あきのゆうひ ⇒ 秋野夕妃さん
  • てるやまもみじ ⇒ 照山紅葉さん
  • かえでやつた ⇒ 楓谷ツタさん
  • あかやきい(ろ) ⇒ 赤谷きいさん

……思ったより少なかったです。

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