お正月(東くめ、瀧廉太郎)もういくつねると…

唱歌・童謡

お待ちしておりました!

2024年12月27日は金曜日なので、今日は多くの会社で仕事納めとなる日かと思います。もういくつ寝るとお正月?と数える頃ですね。

というわけで、今回は唱歌「お正月」を取り上げます。まずは私が歌ったものをご紹介しましょう。

正月のワクワク感が伝わってくる作品だなあと思います。年末になると、スーパーなどのBGMでも、この歌(とかベートーヴェンの第九とか)がよく聴かれますね。

では、早速「お正月」について掘り下げていきましょう!

明治の名コンビにより誕生

令和になった今でも、「お正月」は色褪せることなく、日本人がこぞって口にしています。だからか、私にとってはそこまで古い歌といった印象がないのですよね。皆さんはどう思いますか?

しかし、作詞が東くめで作曲は瀧廉太郎。この名コンビによる作品ということは、つまり明治時代の歌というわけです。古いですね。

初出は『幼稚園唱歌』

「お正月」がこの世に初めて姿を現したのは、1901(明治34)年に公益商社書店から出た『幼稚園唱歌』という唱歌集です。今から120年以上も前ですね。

この唱歌集には、幼い子どもたちでも口ずさめる歌が20曲収録されています。当時は文語体で書かれた歌が多かったのですが、この唱歌集はやさしい口語体で書かれました。また曲調も軽快で、コンパクトな作品が集まっています。

「お正月」は、この唱歌集の第19曲にあたります。

東くめと瀧廉太郎の名コンビ

『幼稚園唱歌』は、東基吉(発案)、東くめ(作詞 ※正確には作歌(以下同様) )、瀧廉太郎(作詞と作曲)、鈴木毅一(作詞と作曲)の4名によって制作されました。

東くめと瀧廉太郎の2名による作品は、『幼稚園唱歌』の全20曲中12曲にものぼります。だから名コンビともいえましょう。なお、東と瀧は夫婦ではありません。夫婦は、発案者の東基吉と東くめです。

東くめは、瀧廉太郎の東京音楽学校(現在の東京芸術大学音楽学部)時代の2つ上の先輩にあたります。東くめは作詞家のイメージが強いですが、当該学校ではピアノと和声を専門的に学んでいたようですね。

歌詞と解釈

もう誰もが諳んじることができると思います……が、それは1番に限った話。2番は意外にパッと出てこなかったりしませんか?

というわけで、歌詞と解釈を載せましょう。

歌詞

もういくつねると お正月
お正月には 凧あげて
こまをまはして 遊びましょう
はやく來い來い お正月

もういくつねると お正月
お正月には まりついて
おいばねついて 遊びましょう
はやく來い來い お正月

解釈

歌詞のとおりです!裏の意味などありません。そのまんま素直に解釈すれば良いでしょう。明治の歌なのに口語体で大変わかりやすい。解説しなくていいのでありがたいです。

ただ改めて内容を把握すると、曲名が「お正月」であるにもかかわらず、年末にうたう歌と分かります。いや、年末とも限りません。カウントダウンなんて、しようと思えば年がら年中できます。だから別に夏とかに歌いたければ歌っても良いと思います。

なお、1番に出てくる遊びは男の子の遊び、2番は女の子の遊び。まあでもあまり気にしませんね。

おいばねとは…?顔に落書きも

あと、歌詞に見られる言葉に、最近では見られないものがあります。それは2番に出てくる “まり” や “おいばね” 。

特に “おいばね” (追羽根)は、現代の子どもにはイメージしづらいかもしれませんね。羽子板(はごいた) を使い、2人以上で羽根をつき合う遊びのひとつです。落としたら負け。墨で敗者の顔に落書きをします。とはいっても、女の子にシワなんか描いたら一生恨まれますからね!

あと、バドミントンのように思いっきりスマッシュを打つと、羽子板が壊れたりするうえ、遊びの趣旨にも反しますから、控えましょう!

語感を意識して歌おう!

口ずさんでみると気づくかもしれませんが、この歌、けっこう語感が良いのですよね。その理由は、同じ音の繰り返しにあります。ここでいう音とは、メロディーの音ではなく、ことばの発音のことです。

まずは1番。色付き太字

もういくつねると 
には 凧あげ
こまをまはし 遊びましょう
はやく來い來い  

“お正月” という単語が3つと、”しょう(正)” の音は4つも出てきています。”て” も韻が踏まれていて気持ちがいいですね。

そして2番は特に気持ちがいいです。

もういくつねると お正月
お正月には まりついて
おいばねついて 遊びましょう
はやく來い來い お正月

2番は、1番の語感の良さに加え、”ついて” のところが強力な押韻になっています。ここは本当に気持ち良く歌えます。

東くめがそこまで意識して書いたかどうかは分かりませんが、センスを感じます。美しい歌詞だなあとしみじみ思います。

ところが、1955(昭和30)年に教育芸術者から発行された『一ねんせいのおんがく』では、その語感の良さをぶち壊してやがる!1番で “元気にみんな 凧あげて”、2番では “なかよくみんな まりついて” と改作されていたようです。

しかし今では元の歌詞のとおり歌うことが通常です。ぜひ語感を意識して歌ってみてくださいね。語感を意識すると、自分自身をはじめ、聴き手にも歯切れの良さを感じてもらうことができます。語感も芸術のひとつです。

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