お待ちしておりました!
いつもは歌のお話をしていますが、たまにはそうでないお話もしていこうかと思います。
今回のテーマは、声楽と自閉スペクトラム症。自閉スペクトラム症は発達障害のひとつで、自閉症スペクトラム障害とかASDと呼ばれることもあります。
※以下、自閉スペクトラム症と書くと長いので、ASDに統一します。
ASDの人が声楽で苦労することや強みとなることなどを、私自身の体験談を交えて解説していきたいと思いますので、よろしくお願いします!
- ASDについてざっくり説明
- ASDの人が声楽で苦労すること
- ASDの人が声楽で強みにできること
- 気になるあれこれQ&A
- Q.1: 感覚過敏がある場合、声楽に支障が出る?
- Q.2: 表情や感情を伴う歌が苦手だが、どうすれば良い?
- Q.3: 規則的な練習や練習環境にこだわりが強い場合、どう対応すれば良い?
- Q.4: ASDの特徴として、音程やリズムのコントロールが得意な場合もある?
- Q.5: 集団活動(合唱など)が嫌いな場合、どうしたら良い?
- Q.6: ステージでのパフォーマンスが不安。どう対策したら良い?
- Q.7: ASDのこだわりが発揮されるとしたらどんな点?
- Q.8: 自己評価が厳しすぎるが、どう対処すれば良い?
- Q.9: 予期せぬ状況に対応するのが苦手。コンサートなどで問題が起きたらどうすれば良い?
- Q.10: 歌詞を覚えるのが難しい場合、どうしたら良い?
- Q.11: 舞台上で人前に立つのが苦手だが、どう克服すれば良い?
- Q.12: ASDの特性で疲れやすいのだが、練習を続けるためには?
- Q.13: 感覚が鈍い部分がある。声楽で何に注意すべきか?
- Q.14: 刺激が多い環境が苦手です。稽古場が騒がしい場合どうしたら良い?
- Q.15: ASDの強いこだわりが逆に悪影響を及ぼすことはある?
ASDについてざっくり説明
今回の記事はASDの概要説明はテーマではないので、かいつまんでお伝えします。
発達障害(神経発達症)のひとつ
ASDは発達障害のひとつです。最近は神経発達症と呼ぶようになってきているようですね。
神経発達症には、ASDのほか、ADHD(注意欠如多動性障害)やLSD(学習障害)もあります。併発している人も多いです。小学校の通常学級でも、何らかの神経発達症の子は10人に1人いるかいないかくらいの割合だそうです。
障害というと知的障害、身体障害、精神障害もありますが、神経発達症はそのどれでもありません。ただ、障害者手帳は精神障害者保健福祉手帳となっています。
特性
ASDの特性は人それぞれですが、主に、
- コミュニケーション障害がある
- マルチタスクが苦手
- 特定のものへの強いこだわりがある
- 同じパターンの繰り返しが得意
- 臨機応変な対応が苦手
- あいまいな言葉が苦手
- 他者の気持ちを理解しにくい
- 感覚過敏がある
- 運動音痴 など
が挙げられます。
ただASDは、自閉症、高機能自閉症、アスペルガー症候群、広汎性発達障害などが合わさった概念なので、そのいずれに該当するかによっても特性は大きく異なります。それどころか、同じアスペルガーだとしても「あなたの特性はこれ!」と特定することすら困難です。
パッと見は健常者であることも
ASDの人を外見で判断することは、重度でない限り、困難だといわれています。一緒に過ごすうちに「あれ?なんか変だ」と思われたりすることも多いでしょう。
ちなみに、私は大人になってASDの診断を受けました。中でも広汎性発達障害に該当します。で、パッと見は健常者。診断を受けるまでは健常者の “つもり” で生きてきました。だけど今思えば少し変わっていた。社会人になってからも色々あって、精神科で正式に診断を受け、障害者として生きていくことになりました。
ASDの人が声楽で苦労すること
さて、ここから声楽を絡めてお話をしていきます。まずは、ASDの人が声楽を学ぶうえで苦労することについて。シビアなことも書きますのでご留意ください。
指導者とのコミュニケーション
声楽を学ぶ際、独学でない限り、指導者とのコミュニケーションが生じます。指導者との相性が悪いと、ものすごくストレスになります。冗談を真に受けやすい人にとっては、ブラックジョークで笑わせてくるような指導者は合いません。怒りに敏感な人にとっては、イライラしやすい指導者は合いません。
また、声楽などの音楽界隈では、どうも感覚的であいまいな指導が多いです。あいまいな指示が苦手な人にとっては、具体的な指示をもらうよう指導者に頼んだり、具体的な指示をくれる指導者に習ったりするのが吉です。
【メモ取りについて】
またレッスン中、指導者の話を聴きながらメモをとることが必要な場面もあります。しかし、マルチタスクが苦手な人にとっては、話を聴きながらメモを取ることが難しい。指導者に待ってもらっても良いですが、その分効率は落ちます。指導者に許可を得て、録音メモを検討する必要が出てきます。
【カミングアウトについて】
あらかじめ指導者に自分の特性を話せる機会があるなら、話しておくと良いでしょう。ただ、口の軽い人も多い世界。言いふらされるのを気にするなら、あまり障害名を出さないのが無難。また、カミングアウトしても理解されるとは限らない点に注意が必要です。そもそも過度な期待をしないほうが良いです。
【愚痴ノート作戦】
私は愚痴ノートを書いていたことがあります。レッスンでむかついたことを、紙が破れるくらいの勢いで書き殴っていました。あまりにブラックすぎて、とても公開できる内容ではありません!
指導者のプライベート侵略
指導者の性格や価値観にもよりますが、中には古い考えの人もいて、こちらのプライベートにまで侵食してくる指導者もいるでしょう。特に声楽や芸能の界隈では、プライベートでの付き合いまで求められがち。
たとえば、指導者に食事に誘われたり飲みに誘われたり……。ご馳走していただけることは嬉しいのですが、急に誘われたりすると予定も気分も狂います。しかも自分の好きでないお店とかだとストレスは半端ない。でも、断るのも怖くてできない。。
あと聞いた話では、指導者に誕生日プレゼントを必須としている門下もあるみたいです。門下生みんなでお金を出し合ってサプライズプレゼントするとかね。。正直バカげていますね!百歩譲って還暦祝いとかならまだ分かりますけどね。
伴奏者との築き合い
声楽をするうえで、伴奏者とのアンサンブルをするシーンは必ずあります。たとえば音大では、試験やイベントのため、何度か合わせる練習をしてから本番を迎えることになります。
相性の良い伴奏者であったとしても、お互いの意見の食い違いは生じるものです。喧嘩腰にならず、お互いが譲歩し合わなければ良い音楽は生まれません。自分のこだわりを大切にしながらも、相手の意見も尊重する姿勢が必要です。
ただ、やはり我慢しすぎるとストレスになります。特に伴奏者のほうの芸歴が長い場合、気も遣うんですよね。。また、自分の障害をカミングアウトしても、先述のとおり、理解されるとは限りません。「ある程度はコミュニケーションで苦労しても仕方がない」という割り切りも必要かもしれませんね。
まわりとの関わり
たとえば音大等に入ったりして声楽を幅広く学ぶことになれば、合唱、演技、オペラ、ダンス、語学などあらゆることを学ぶことになります。つまり、いろいろな人とのコミュニケーションが生じたり、マルチタスクが必須になったりします。
ASDの人は、ただでさえ集団行動が苦手な傾向にありますが、声楽には多くの集団行動や高度なコミュニケーション能力が必要になるシーンも多い。つまり、ASDがまさに苦手とするシーンばかりというわけです。
人前で歌うだけではありません。演技をしながら他者とバランスをとった歌い方をしたり、はたまた他者の身体に触ったり触られたりもあります。誰かがトイレから出てきた足で歩いた床に座るシーンもある。さらに、他者と稽古や練習のスケジュール調整をしたり、意見交換会をしたり、公演の打ち上げ会に参加させられたりもあります。
スキル習得
ASDの人の中には、発達性協調運動障害を持った人も多いようです。運動が苦手、動作がぎこちない、姿勢が悪くなりやすいといった特性が見られます。重い人だと日常生活にも支障をきたすようです。
障害というほどかは分かりませんが、私は運動音痴でした。元々身体も固すぎるため、何をしてもロボットみたいな動き。ダンスの授業でみんなにゲラゲラ笑われたこともあります。私としては大真面目でしたが、動きがおもしろおかしかったのでしょう。恥ずかしかったなあ!
また発声においても、私は他者よりも習得が鈍かったと感じました。健常者でも発声には悩みますが、今思えば、ASD特有のマルチタスクの苦手さが、自主練習を非常に効率の悪いものにしていた気がします。あらゆる角度から自分を客観的に見て、一点にこだわりすぎない柔軟な練習が必要でした。
自己管理
声楽はスポーツと同じと言っても過言ではありません。日々、健康管理や練習計画の遂行など、自分の力で行っていく必要があります。睡眠、飲食、練習方法、休み方、スケジューリング……。
ASDの人は感覚過敏や不安などから人一倍疲れやすく、うまくいかなかったときの衝撃も大きい。またADHDの特性も持っている人なら、せっかく計画を立てても、あっちこっち逸れていってしまうこともあります。で、後悔してモチベーション低下。。
それを指導者や先輩に知られたら「しっかりしろよ」と言われてしまいますし、現に自己成長につながりにくくなります。が、障害である以上、割り切らなければならなかったりもします。軽度ならまだしも、重度なら、日常生活や音楽生活をサポートしてくれる人が必要になるかもしれません。
ASDの人が声楽で強みにできること
シビアなお話が続いて、きっと辟易とした気持ちにさせてしまったことと思います。申し訳ありません。ここからはポジティブなお話です!
得意分野を極める!
あれもこれもできるマルチプレイヤーを目指すよりも、自分の得意分野を決めたらそこを極めていくのが良いと思います。ASD特有のこだわりや、一点に対する並ならぬ熱意や集中力を生かすと、仮に時間はかかっても深く深く掘り下げていくことができます。
特に声楽においては、思考停止のままオペラに取り組む人も多いです。元々好きなら良いですが、「それが常識」と考えている人もいる。しかしそれはASDの人にとっては苦痛ですし、モチベーションの低下にもつながります。
ひとつの分野を掘り下げていくと、それに紐づいたノウハウもおのずと必要となり、少しずつ幅が広がっていくと思います。苦手感の強いところまで我慢して取り組む必要はありませんが、「やってみよう」という気持ちの積み重ねが、やがて大きな実りになることもあるでしょう。
私は学生の頃から日本の歌に興味が強く、オペラの授業の枠で日本音楽の授業を受けに行っていましたよ。あ、もちろん必須のオペラ科目は履修していましたけどね。
狭く深い人間関係を築く!
ASDの人はコミュニケーションが苦手で、人間関係をうまく築けない傾向にあります。他者とのトラブルが起きたり、あるいはトラブルを恐れて付き合いが希薄になったりします。
ASDの人は他者の気持ちが分からないと言われがちですが、他者と異なる感覚を持っていたり、他者の気持ちに敏感なあまり考えすぎて思うように行動できなったりする人も少なくないでしょう。
だからこそ、フィーリングが合う人を見つけられたら、ものすごく意気投合するかもしれません。特に、声楽をはじめとする音楽界隈って、けっこう “変な人” が多い。未診断ASDの人もけっこういるのでは?と思います。ぶつかるときはぶつかり、共感できるときは思いっきり共感!
そんな人を見つけて、狭く深く付き合いたいものですね。友達と呼べる人なんて1,2人いれば十分です。少なくとも私はそうでした。でも楽しかったですよ。馬鹿げた話や深すぎる話を、ろくに練習もせずに(←しろよ!)終電の時間までよく語り合ってましたね。大人数は苦手でも、気の合う人と1対1でいるのは苦にならないもんです。
理論派でデリケートに!
おそらく、声楽をやる人は感覚派が多いです。感覚派とは、発声にしろ楽曲の捉え方にしろ表現にしろ、自分の感覚や感情の動きをストレートに反映させるタイプをいいます。私のことを授業で笑った人たちは、間違いなくそういうタイプでした。
ASDはそういう人との相性がとことん悪かったりします。音楽の解釈も、きちんとした理由がなければダメ。細かいところばかりに目が行って全体像を見失うことさえあります。
もちろん感覚と理論のバランスが大事で、私もバランスを取れるように努めてきたつもりです。が、やはり細かいことを考えるのって、悩みもしますが面白かったりもするんですよね。
ASDの人は研究者向けだと言われたりしますが、まさしくそんな気がします(もちろん人にもよります)。ことばの発音にしろ様式美にしろ、細かいところをデリケートに扱うことが得意なら、深い見識に裏打ちされた演奏を目指すのが良いと思います。
でも、そこを目指すのは “芸術家” として当然のことだと私は思いますけどね。
好きなことへの継続力!
ASDの弱点として、興味のないことは全然熱意がわかないことがあります。が、興味のあることならいつまでもやり続ける力がわいてきます。たとえば、もしJ.S.バッハのオルガン曲が好きなら、その練習や研究ばかりやることになります。
もちろん、健常者でも好きなことにとことん集中することはあると思いますが、ASDの人に比べると、ほかのものに目移りやすいとか、成果が出ないとあきらめてしまうとか、そういう可能性が高いでしょう。
継続は力なりです。成果が表れなくても、ひとつのことをずっと続けていれば、何かしらの形で実ります。お金になるかもしれないし、精神安定剤になるかもしれない。どんな形になるかは人それぞれですが、ASDの人の大きな強みはそこにあります。
独創的なアプローチ!
よくASDは研究家肌と言われますが、中には芸術家肌と呼ぶほうがふさわしい人もいるでしょう。要は、独創的な発想を持っており、クリエイティブな人です。他者とは異なる感性や価値観を持っているからこその特性です。
芸術を極めるなら、深い知見に裏打ちされた演奏を目指すことも重要です。しかし、多くの人が気付かなかった歌の側面に気付いたり、常識にとらわれていたらできなかった表現をしたりすることが個性やカリスマ性にもなり得ます。
我が道を行くタイプの人は、その独創性を貫き、ファンをつくっていくことを目指すのも良いと思います。
こだわりの人生!
ASDの弱点として、人一倍こだわることによる視野の狭さや、融通の利かなさがあります。しかしそれを逆手にとると、自分の人生を唯一無二のものに調理することができるということです。
声楽のノウハウの獲得にせよ、自己管理にせよ、他者との付き合い方にせよ、すべてにおいてしっかり自己分析をすることで、自分流の人生を極めていくことができると思っています。
健常者には、重要視したくもない世間体をやけに重要視したり、やりたくない仕事を我慢してやり続けたりする人も多い。というかそれができてしまう。ところがASDの人は、そういう理にかなわない行動は苦手な傾向にあり、理にかなう行動には全力を注げる傾向にあるのではないでしょうか。
ならばその力、自分流のこだわりの人生に活かして、声楽を思う存分愉しんでいきたいものですね。そしてそれに誇りを持ちましょう!そうすれば、まわりからも一目置かれる人間になれると思います。
気になるあれこれQ&A
長々と説明をしてきましたが、きっと色々な事が気になるかと思います。以下に、Q&A形式でまとめましたので、是非参考になさってみてください。
Q.1: 感覚過敏がある場合、声楽に支障が出る?
はい、可能性はあります。
【音の感覚過敏がある場合】
オペラや合唱での大音量にストレスを感じることがあります。音量を抑える耳栓の活用を検討しても良いかもしれません。ただ、音に敏感ということは、音への感受性が非常に鋭いとも言い換えられます。その感受性は声楽で大いに活かすことができます。
【光の感覚過敏がある場合】
舞台でのスポットライトやフットライトなどが眩しく感じることがあります。また、大勢での稽古場では、夜遅くまで蛍光灯の光が目に注ぎます。遮光式のメガネやコンタクトレンズを検討しても良いかもしれません。
【触覚の感覚過敏がある場合】
オペラ等の演技や衣装の繊維などに対する配慮をもらうよう、関係者に働きかける必要があるかもしません。触る触られるを避けたり、自分に合った衣装を見つけたりすることが必要です。演出の都合によっては出演を断られる可能性もあるので、念頭に置いておいたほうが良いでしょう。
【嗅覚の感覚過敏がある場合】
問題になるシーンがあるとすれば、共演時に相手の体臭・口臭を感じることや、休憩時間などに飲食物のニオイがすることでしょう。女性なんかは香水を強く香らせている人もけっこういます。また、オペラ等で衣装を借りる際は、使い古されたニオイもあったりします。苦手でなければ、嗅覚をごまかすミント・アロマグッズやマスクなどを検討してみましょう。それもできないなら要回避です。
Q.2: 表情や感情を伴う歌が苦手だが、どうすれば良い?
ASDの人は感情表現が苦手なことがありますが、歌詞の意味を一つずつ丁寧に理解し、自分なりのストーリーを作る練習をすると表現がしやすくなる場合があります。ただ、無理に感情を込めるはありません。さも感情を込めているかのように聴かせる技術を磨くことに注力してみましょう。
Q.3: 規則的な練習や練習環境にこだわりが強い場合、どう対応すれば良い?
規則性や決まった手順が安心材料となることがあります。その場合、練習計画を立て、一定のルーチンを維持することで集中しやすくなるでしょう。練習時間や場所も一定にすると、安心感が増します。ただ、複数人で稽古する場合には、我慢しなければならないこともあるのでご注意ください。あと、私の経験上、会場のトイレなどの衛生面が気になることも多いです。あらかじめリサーチしたり、衛生グッズを常に持ち歩いたりするのが良いですね。
Q.4: ASDの特徴として、音程やリズムのコントロールが得意な場合もある?
あります。ASDの人の中には、私のように元々リズム感の悪い人もいますが、音感やリズム感が非常に優れている人だっています。この強みを生かしつつ、自分の感覚で歌いすぎないよう指導者のフィードバックを受けると、より良い表現が可能です。
Q.5: 集団活動(合唱など)が嫌いな場合、どうしたら良い?
ソロ活動や個人レッスンを優先するのも良い選択です。ただし、集団活動を避けられない場合は、事前に他のメンバーとの関わり方を練習したり、休憩を適切に取ったりすることでストレスを軽減できます。可能なら責任者と相談したほうが良いですが、障害名のカミングアウトは、誤解の拡散を防ぐためにも、慎重になったほうが良いです。
Q.6: ステージでのパフォーマンスが不安。どう対策したら良い?
ASDの人は、予測できない状況に不安を覚えることが多いです。本番を想定した練習を繰り返したり、会場や舞台裏の様子を事前に見学したりすると、不安が軽減します。パフォーマンス前のリラックス法を自分なりに確立することも役立つでしょう。
Q.7: ASDのこだわりが発揮されるとしたらどんな点?
声楽における技術の追求や、自分の声を分析する能力が優れている場合があります。こだわりをポジティブに生かし、発声技術や音色の研究に時間を割くことで上達が早まるかもしれません。こだわりゆえに他者と衝突してしまう可能性もあるため、あらかじめソーシャルスキルを磨くよう努めることも大切です。
Q.8: 自己評価が厳しすぎるが、どう対処すれば良い?
ASDの人には、自分に厳しい人や、自己肯定感が低い人も多いです。日々の練習の録音をとり、小さな成功を認める練習をすると良いと思います。それを続けることで、客観的な視点を養えます。また、指導者や信頼できる人から具体的なフィードバックをもらうと、適切な評価がしやすくなります。なお、毒親を持つ人の場合、そいつに意見は聞いてはいけません。フル無視で良いです。
Q.9: 予期せぬ状況に対応するのが苦手。コンサートなどで問題が起きたらどうすれば良い?
本番での予期せぬ状況に備えるには、色々なシナリオを想定しておくと良いでしょう(例えば、ピアノ伴奏が遅れた場合の対処や、歌詞を忘れてしまった場合の対処など)。また、リハーサルで予行練習を重ね、緊急時の対応法を確認しておくことも安心感につながります。衣装や必要な物を家に忘れることもあり得ます。自作マニュアルやチェックリストをあらかじめ準備しておくと良いでしょう。
Q.10: 歌詞を覚えるのが難しい場合、どうしたら良い?
歌詞の記憶が難しい場合は、視覚的に覚える方法(書写、色分け、絵、ストーリー化、脳内での映像化など)を試してみましょう。また、歌詞の意味を理解することで覚えやすくなることもあります。あとは人一倍反復練習を重ねることです。普段から口ずさんでみましょう。また、制約がないのであれば、本番で楽譜を見ながら歌うのも全然ありです。むしろその様式がふさわしい歌だってあります。
Q.11: 舞台上で人前に立つのが苦手だが、どう克服すれば良い?
ASDの人は視線や他人の注目を受けることが苦手な場合がありますね。観客を直接見ず、後ろの壁やライトを見るようにするのが一つの方法です。視力が悪い人なら、支障がない範囲で、視力矯正せず臨むのもありでしょう。また、緊張感を減らすために、呼吸法やリラクゼーション法を習得すると良いでしょう。それと、最近はYouTubeなどもあるので、無理に舞台に立たず、そういう場で披露する形もありだと思います。
Q.12: ASDの特性で疲れやすいのだが、練習を続けるためには?
疲れやすい場合は、短時間集中型の練習を取り入れたり、こまめに休憩を挟むと良いです。また、身体の負担を減らすためにストレッチやリラクゼーションを取り入れることも有効ですね。日頃は睡眠と食事にも気を遣う必要があります。服薬で解決できることもあるので、精神科等に通院している人は、主治医に相談しながら対応してみましょう。
Q.13: 感覚が鈍い部分がある。声楽で何に注意すべきか?
感覚が鈍い(感覚鈍麻がある)場合、声の響きや体の使い方を意識するのが難しいことがあります。大きな鏡を使ったり、録音で確認することで客観的に自分の声や姿勢を把握しやすくなります。指導者に具体的なフィードバックを求めることも大切です。あと、ノドの疲れを感じにくいケースもあるので、練習はほどほどに。30〜60分くらいを目安にすると良いでしょう。
Q.14: 刺激が多い環境が苦手です。稽古場が騒がしい場合どうしたら良い?
Q1の回答に書いた内容を参考にしつつ、刺激を緩和するグッズ(イヤーマフ、遮光メガネ、マスクなどなど)を使ってみましょう。それでもつらい場合は、いっそのことそういう場所は避けたほうが良いです。集団の稽古への参加も控えるのが無難です。
Q.15: ASDの強いこだわりが逆に悪影響を及ぼすことはある?
はい、あります。一つのテクニックや曲に固執しすぎて、考え方が固くなったり、声帯を傷めたりすることがあります。柔軟に指導者や仲間の意見を取り入れたり、違う曲に取り組むことで視野を広げたりするのが有効です。完璧にしたくて頑張りすぎても、私の経験上あまり良い結果にはなりません。うまくいかないときは、「まあいっか」と口に出し、肩の力を抜いてみてください。
以上です!


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