BELIEVE(杉本竜一)たとえば君が傷ついて…

合唱曲

お待ちしておりました!

2月も半ば頃となりました。今年のバレンタインデーは、なんと土曜日!平日勤務の私にとってはありがたいです。義理チョコをもらうと恐縮な気持ちになるからです。しかし結局、前日の13日にもらってしまいました。もちろん有難く味わいましたけど。

さて今回は、有名な合唱曲「BELIEVE(ビリーヴ)」についてです。まずは私がひとりで合唱したものを掲載します。

ひとりでこうやって重ね合わせるのはなかなか大変です。その割には、たまにむなしくもなります。人間付き合いの苦手な私は、他者とアンサンブルする気も起きないので、こうやってひとりで宅録しているんです。。

というのはさておきとして、早速解説をしていきましょう。

歌詞の解釈

まずは歌詞の解釈からしていきますが、残念ながら、著作権の都合で、このブログに全文を載せることは避けます。上のYouTube動画や他サイトなどにある歌詞を参照しながらお読みいただけたらと思います。

“君” と “僕”

「BELIEVE」には、”君” という言葉が出てきます。一体、この “君” とは誰のことなのでしょう?

友達?恋人?それとも……。

さすがに親とか先生に向かって “君” とは言いませんが、いったい誰のことなのかは不明です。ただ、大切な人であることは想像がつきますね。しかも、”僕” の年齢と同じくらいか歳下のような気がします。

“僕” というのは、おそらく男性の子供もしくは大人ですが、自分自身にあてがっても良いかと思います。そうすると、”君” というのは、自分にとっての誰か大切な人を想像してみると良いでしょう。

“I believe in future” の真意

「BELIEVE」の歌詞の中で際立っているのが “I believe in future” です。英文ですが、歌詞なのでドット( . )はありません。

まず日本語訳としては〈私は未来を信じる〉で良いのですが、実は、”I believe future” という in 無しの文でも、訳はほぼ同じになります。

しかし歌詞ではわざわざ in が付いています。in があるのと無いのとでは、いったいどう違うのでしょうか。

そう、実はニュアンスが変わってきます。in があると、 存在・価値・能力などを信じるというニュアンスになり、in が無いと、そのことが正しいと信じるというニュアンスになります。

たとえば、〈I believe in you.〉なら〈君の能力や可能性を信じるよ。〉といったニュアンスになりますが、〈I believe you.〉だと〈君の言うことや行うことを信じるよ。〉といったニュアンスになります。

したがって、歌詞の “I believe in future” は、未来においても希望や期待などが満ちあふれていることを信じている、といったニュアンスになろうかと思います。

in というのは、或るものの内部を意味します。そのため、〈believe in ◯◯〉は、◯◯というものや概念の内部に身を置いて信じるようなイメージです。ややこじつけかもしれませんが、可能性や能力は内部に秘められたもの、と見るとニュアンスを理解しやすくなりますね。

“誰か” とは誰?

2番には、新たな登場人物である “誰か” が出てきます。

では、この “誰か” とはいったい誰のことなのでしょうか。私が思うに、これには3つの解釈が可能でしょう。

1つ目は、オーソドックスな解釈。文字どおりの “誰か” 。不特定の人物です。2つ目は、実は “僕” のことではないかという解釈。口先では “誰か” と言っておきながら、実は自分自身をそこに投影しているのではないか?ということです。3つ目は、そのふたつの両方であるということです。

“僕” にとって “君” は特別な存在。そんな “君” は、自分ひいては周りの人に優しくあってほしい、という思いがあるのではないでしょうか。

NHK『生きもの地球紀行』が初出

「BELIEVE」は、1998(平成10)年にNHKの『生きもの地球紀行』という番組の3代目エンディングテーマとして登場しました。この番組は、動物や魚や虫などをクローズアップして、自然の世界におけるあらゆる姿を紹介していくものでした。

ちなみに、同番組の1代目のエンディングテーマはこれまた有名な合唱曲「Tomorrow」、2代目のエンディングテーマもまたまた有名な合唱曲「この星に生まれて」でした。いずれの作詞・作曲も、「BELIEVE」と同じく、杉本竜一さんによるもので、この3曲を〈杉本竜一三部作〉と呼んだりします。

いずれの曲も、人間の営みを基準に歌詞を解釈するのが一般的ですが、自然界の生き物たちをテーマにして解釈を試みても面白いかもしれません。

歌い方のポイント

さて、後半は音楽的なお話です。

「BELIEVE」を歌うときのポイントについてまとめました。少し気にするだけでも、作品がより美しく仕上がります。合唱コンクールで負けないために!…というよりは、より洗練された合唱をつくりあげるために押さえていただければと思います。

基本的に、助詞は軽く

まずは助詞を軽く歌うというお話です。助詞とは、”君が” の〈が〉、”傷ついて” の〈て〉、”ときは” の〈は〉などです。

あえて助詞を強く発音することもありますが、それはその助詞に強い意味的効果を求めたいときのみであり、基本的には軽く歌っていくと良いです。

特に、”必ず僕がそばにいて” の〈て〉は、音がパッと高くなる箇所なので、ぶっきらぼうに歌うと耳障りな音になってしまいます。軽めに歌うことを意識してちょうど良くなると思います。

また、「BELIEVE」には、助詞を伸ばして長く歌う箇所が度々出てきます。押し付けるように歌うと、印象が重々しくなりますし、そこばかりが耳につく仕上がりになってしまいます。

サビはバランスに要注意

混声合唱で歌うとき、”今 未来の” や “今 素直な” で始まるサビでは、男女の声のバランスがけっこう難しいです。YouTubeでいくつか聴いてみると、男声がやたら目立ってしまい、女声のソプラノ(1番上のパート)の主旋律が埋もれてしまっていたりします。

そうならないためには、ソプラノがまず芯のある声を出すことが大切です。ただ、声がまだ完全に育っていない子どもが歌うとなると、それは難しいことがあります。そもそもこのサビの音域は、ソプラノにしては低めの音域なんですよね。声の高い大人の女性でさえ、スカスカな声になってしまうことがあります。

ではどうすべきか。

一番手取り早いのは、男声が調節して歌うことです。ソプラノと同じ音(正確にはユニゾンになる音)は堂々と歌えば良いですが、そうでない箇所、たとえば “今未来の” の “の” 以降は要注意です。少し高い音域にシフトします。少し高いということは突出しやすくなり、ソプラノのメロディーを食ってしまいがちになります。 

特に思春期の男子は血気盛んでパーッと歌いたくなるかもしれませんが、ソプラノを食わないよう、紳士的に歌っていくことを意識したいものですね。

ただ、口先で弱々しく歌うのではなく、裏声を用いても良いので、安定した息づかいと豊かな響きで歌うということも、可能な限りやっていけると良いと思います。

……このように、「BELIEVE」のサビは、なかなかにハーモニーをつくるのが難しいものです。

“I believe in future” は命

最後に出てくる “I believe in future” は、歌のタイトルワードが含まれている上、前半で解釈したような深い意味のある言葉です。つまり、この歌のすべてが集約されているといっても過言ではない、命の言葉。

しかし、あろうことか、英語なんですよね。英語が苦手な人にとっては、どう発音したら良いか迷うところです。

Googleなどで、〈 i believe in future 翻訳〉などと調べると、検索結果の一番上に対訳が出てくるかと思いますから、そこにあるスピーカーボタンを押すことで発音が聞けます。それを参考にしてみましょう。

あと邪道ではありますが、発音をカタカナで書くと、

 アイ ビリーヴィン フューチャー

となります。ビリーヴ とイン はくっつけて ビリーヴィン となるので、そこが大きなポイントかと思います。また、ヴ の発音は、単なる ブ とは異なり、下のくちびるを軽く噛んで発音します。フュ の発音も、同じく下くちびるを軽く噛んでから発音します。そしてさらに高度なことを言うと、チャー は曖昧母音の発音になりますから、はっきり チャー と発音するよりは、少しだけ チュー に近づけると英語らしくなります。

とはいえ、これは英語の歌ではないので、指導者によっては完全なカタカナ英語で済ませるケースもあるかと思います。

“信じてる” 、最後まで丁寧に

最後の最後に出てくる “信じてる” も、この歌では命となる言葉です。直前の “I believe in future” に続いて、似たようなことをもう一度言って終わっていくことになります。

似たようなことを続けて言う場合、何気なく歌ってしまっては作詞者が泣きます。よほど大切な言葉なんですよ。それに、よりによって今回は歌詞の最後に来ていますから、より丁寧に歌う必要があるでしょう。

丁寧に歌う……というとあいまいですけれど、具体的には、一つひとつの発音を明瞭に行うのはもちろん、視線をみんなで1箇所に集中させ、希望に満ちた気持ちとキラキラした目で歌うことですね。アイドルになれ!とは言いませんけど、そのくらいの熱量があっても良いと思います。

ただ、落ち着いて歌い終わりたいので、その熱量を全部さらけ出すと下品。自分の心の中で、その熱を濃厚に凝縮させる感じをイメージすると良いでしょう。


以上で終わります。

私もかつて、中学時代に「BELIEVE」を歌いましたし、大人になってからも、なんかの声楽発表会で出演者全員で合唱したことがあったような……。

そして冒頭の動画では、改めて私ひとりで、しかもかな〜り久しぶりに歌いましたが、中学時代はあんなことがあったなあ、こんなこともあったなあと、しみじみと思い出にふけりながら編集作業を行いました。

本当、名曲です、「BELIEVE」。

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